シスプラチン誘発急性腎不全モデルとプロスタグランジンE2(PGE2)受容体のEP1を欠損するマウスを用いて、急性腎不全の病態形成におけるPGE2-EP1系の役割について検討した。EP1欠損マウスでは野生型のマウスと比較して、シスプラチン投与後の生存率が著明に改善されることを見出した。また、EP1欠損マウスにおいて、シスプラチン投与の72時間後における腎機能障害の程度が有意に軽減されることが明らかになった。さらに、EP1欠損マウスの腎臓における炎症性サイトカインの産生と酸化ストレスの軽減が確認された。以上の結果より、急性腎不全の病態形成においてPGE2-EP1系が増悪に働く可能性が示唆された。
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