研究課題/領域番号 |
24790587
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高橋 秀和 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90450402)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ニトロソ化タンパク質 / 喘息 / マウス / 一酸化窒素 / 予防医学 |
研究概要 |
一年目である平成24年度の研究は、主に以下の二つに分けられる。 1. 喘息モデルマウスの肺においてシステイン残基のニトロソ化修飾の量が変化するタンパク質を同定することを試みた。健康なマウスと喘息モデルマウスの肺組織を単離して、ビオチン交換法によってニトロソ化修飾を受けるタンパク質を網羅的に精製した。精製したニトロソ化タンパク質を変性ゲル電気泳動で分離して銀染色したところ、10-20のバンドが検出できた。これらのタンパク質を個別にゲルから切り出して、質量分析にかけて同定した。同定したタンパク質の中で抗体が入手可能である1つのタンパク質について、健康なマウスと喘息モデルマウスにおけるニトロソ化量の変化を調べるために、ビオチン交換法によって精製されたタンパク質画分に対して抗体を用いて、リバースウエスタンブロッティングを行った。その結果、このタンパク質のニトロソ化レベルは、喘息モデルマウスにおいて増加していることを突き止めた。 2. 喘息モデルマウスの肺組織における一酸化窒素(NO)関連分子の濃度変化は、フィードバック機構なども存在するためにはっきりとは分かっていない。NOx(亜硝酸イオンと硝酸イオンの合計)濃度はこれまでは統計的に有意な変化は確認されていなかったが、今回測定したNOx濃度では、喘息モデルマウスでは健康なマウスに比べてむしろ増加していた。 1, 2の結果は一酸化窒素化合物の濃度が喘息モデルマウスにおいて全般的に上昇している可能性を提示するが、この結果に普遍性があるかを調べるためには、数種類以上のタンパク質のニトロソ化レベルを調べたり、亜硝酸イオンと硝酸イオンそれぞれの濃度変化を測定したりする必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおりに、喘息モデルマウスでシステイン残基のニトロソ化レベルの変化するタンパク質を同定するという実験は成功した。うち1つのタンパク質についてはニトロソ化が増加することを明らかにできた。ただし、同定したタンパク質に関する既知の情報から判断するかぎりにおいては、これらのタンパク質のニトロソ化が喘息の発症や病態に重要であるかは判断できない。また、一酸化窒素(NO)化合物であるNOxが喘息モデルマウスに比べて有意に上昇することも明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ビオチン交換法に限らず、タンパク質の生化学的精製による網羅的同定では、多量に存在するタンパク質が主に精製されてしまい、重要だが微量に存在する転写因子などは精製されにくい。したがって、喘息の発症に機能的に重要と示唆されていて、かつニトロソ化修飾を受ける可能性があるタンパク質について、個別にビオチン交換を行なってニトロソ化量の変化を調べる予定である。喘息の発症に機能的に重要なニトロソ化タンパク質については、その詳細な解析を行う予定である。また、亜硝酸イオンと硝酸イオンなど個別の一酸化窒素化合物の喘息モデルマウスにおける濃度変化を測定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究室に既に存在するサンプルや安価な試薬などを有効活用することによって、平成24年度に使用したビオチン交換等の実験の経費を当初の計画よりも約13万円少なくする事に成功した。一方で、サンプルの前処理や反応条件を工夫して、より高感度なビオチン交換反応を再度行うことによって重要な微量タンパク質を同定するための経費として、この約13万円を平成25年度に繰り越した。
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