PBCおよび慢性C型肝炎のどちらも病期が進行するにつれて肝癌を発症する。しかし、PBCでは肝癌はまれであるがそのメカニズムは不明である。そこで、TGFbシグナルの面から検討を行った。どの病期においても慢性C型肝炎と比較するとPBC症例では、細胞増殖・線維化に関わるSmad3Lリン酸化程度は低く、癌抑制に関わるpSmad3C経路は保たれており肝発癌が少ないと考えられた。しかし、発癌したPBC症例では、診断当時から高Smad3Lリン酸化状態を呈していた。診断時から発癌シグナルが高いPBC症例では早期に肝硬変に進行し、発癌する危険性が高く慎重な経過観察が必要であると考えられた。
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