本研究では強迫性障害の病態生理を、複数の核磁気共鳴画像(MRI)のモダリティーを用いて調べることを目的とした。T1強調画像を用いた灰白質体積の検討からは、強迫性障害患者では健常者と比べて、島皮質を含む複数の領域の灰白質体積が減少していることが分かった。拡散強調画像を用いた検討では、強迫性障害患者では健常者と比べて、眼窩前頭皮質と腹側線条体を結ぶ白質線維が線条体のより背側に投射しており、なおかつ、構造的結合性が強くなっていることが見いだされた。これらの結果から、強迫性障害の病態生理には、前頭皮質-線条体回路だけでなく島皮質を含む他の脳領域の異常も関与していることが示された。
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