研究課題/領域番号 |
24791244
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
黒岩 真帆美 久留米大学, 医学部, 助教 (20585690)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ホスホジエステラーゼ / DARPP-32 / ドーパミンD1受容体 |
研究概要 |
うつ病の薬物治療に用いられている代表的な選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であるフルオキセチンをマウスに慢性投与すると、成熟細胞のマーカーであるcalbindin、Triptophan 2,3-dioxygenase などのmRNAレベルの低下がみられる。また、ドーパミンD1受容体mRNAレベルの増加がみられる。これらの変化が抗うつ薬慢性投与による海馬歯状回の脱成熟化誘導を反映する特徴的な現象として報告されている。これまでに当研究室では、抗うつ薬とD1受容体アゴニストを併用することでこれらの変化が増強することを示唆する研究結果を得ていることから、ドーパミンD1受容体/PKAシグナルの活性化と抗うつ効果との相関性の検討を行った。フルオキセチン慢性投与中にどのタイミングでドーパミンD1受容体/PKAシグナルを活性化すると抗うつ効果が効率よく増強されるかを検討するため、まずドーパミンD1受容体アゴニストを用いた検討を行った。その結果、フルオキセチン2週間慢性投与の最後の5日間でのドーパミンD1受容体/PKAシグナルの活性化が最適であるとの結果を得た。今後は、同様の結果がホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬で再現できるかの検討を行う。 さらに、PDEには少なくとも11種類のサブタイプが知られていることから、免疫組織染色により、海馬歯状回におけるPDEアイソフォームの発現パターンを解析するための条件検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、PDE阻害薬と抗うつ薬の併用投与の有用性を検討し、うつ病の新規薬物治療法の発展基盤となる研究を目指している。 平成24度の研究実施計画である、PDE阻害薬と抗うつ薬の併用時のタンパク質レベル、mRNAレベルでの作用機序の解明と海馬歯状回におけるPDE発現パターンの解析については、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究実施計画であるタンパク質レベル、mRNAレベルでの作用機序の解明は、平成25年度も引き続き行う。 さらに、難治性うつ病モデルマウスと考えられている、p11遺伝子欠損マウスおよびSocial defeatストレスによるうつ病モデルマウスを用いて、フルオキセチンを始めとする抗うつとPDE阻害薬併用慢性投与による抗うつ効果を、薬強制水泳試験、尾懸垂試験等の行動薬理学的評価法を用いて検討する。また、得られた実験結果を総合的に解析し、うつ病の薬物治療として最も有効性が高く、安全性の高いPDE阻害薬のアイソフォーム、投与スケジュールを決定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
行動薬理学的検討において、PDE阻害薬をマウスに投与するため、in vivo投与に十分な選択的PDEアイソフォーム阻害薬を購入する費用が必要である。試薬として、他に、ドーパミンをはじめとした神経伝達物質受容体のアゴニスト、アンタゴニストや、プロテインキナーゼ阻害薬など蛋白リン酸化関連試薬などを購入する。また、real-time PCRやウエスタンブロット法による解析が主なので、種々の試薬・抗体が必要である。これらの試薬・消耗品等の購入費用は本研究遂行の為には必要な経費である。
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