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2013 年度 実施状況報告書

アミロイドイメージングによる認知症診療への早期診断応用と費用対効果に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24791363
研究機関地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)

研究代表者

伊藤 公輝  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (40602074)

キーワードPET / 認知症 / アミロイドイメージング / アミロイド / SPECT / MRI
研究概要

平成25年度では約30症例、前年度と合わせ99例の症例を評価した。新たなアルツハイマー病(AD)の診断基準であるNIA-AA (2011)を用いて、診療診断と研究診断の乖離を検討した。臨床診断でprobable ADと診断された40名の患者にて研究診断を適応させたところ、90%以上(37/40)の患者でHigh~IntermediateのADと診断された。しかしながら、アミロイド沈着を考慮した場合は11名でPiB PETが陰性であった。前年の報告と同様に、PiBの感度を100%と暫定的に見積もると、臨床診断でprobable ADと診断された約30%の症例では新たな診断基準であるNIA-AA (2011)を用いても十分に診断できていない可能性が示唆された。これは現行の診断基準ではアミロイド集積と海馬萎縮といった神経脱落の評価が同等に取り扱われていることに起因すると考えられる。この結果より日常診療での診断基準と研究的なPiB PETを使用した診断基準では約20-30%程度の乖離が存在する可能性がある。これまでの結果から、本邦でのPiB PETの臨床に与える認知症診断へのインパクトは欧米とそれとほぼ同等と考えられる。
また、サブ解析としてPiB PETが陽性であったprobable ADの患者より得られたFDG PETと脳血流SPECTの視覚的な比較を行った。3名の評価者によりFDG PETと脳血流SPECTを評価したところ、ほぼ同等の診断能が得られた。(Ito, et al. International Journal of Geriatric Psychiatry)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度まで約100症例でPiB PETが施行でき、概ねの目標症例数に達した。研究計画の開始から最終目標である論文掲載までの過程を勘案すると、現行では目標達成まで約70%程度と見積もられる。現時点の解析結果では、PiB PETの有用性は十分に証明されると考えられる。登録患者数は概ね達成することができたが、認知症の最終診断のため数か月間は臨床経過を観察する必要がある。また、研究者の移動や急病により若干の研究の空白期間があった。このため、2年以内の研究終了が困難であり、若干の研究期間の延長を必要とするが、想定範囲内で進行している
これまでのアミロイドPETの臨床に対する影響は、研究協力者により論文作成中である。論文投稿前後に、アミロイドPETに関する費用対効果の検証を行う。研究開始当初と若干のプロトコルの変更があったが、解析に大きな影響は出ないと推測している。
問題点として、新たなADの診断基準であるNIA-AA(2011)の研究診断基準では、アミロイドPETとMRIまたはFDG PETを行い、それぞれアミロイド沈着と神経障害を評価することで、研究のための診断を行う流れとなっている。このため、MRIとSPECT、そしてアミロイドPET(または髄液)による評価は研究のための診断に必須であり、厳密に言えばADの診断にいずれの画像省略は困難と考えられる。このため、アミロイドPET陰性例にも注目しながら解析を続ける。

今後の研究の推進方策

平成26年度では、これまで蓄積された症例の臨床経過を検討することで、AD診断に有用であった検査などの総合的評価を行う。また、アミロイドPET陰性患者においてADを除外できるという長所を生かし、アミロイドPET陰性だった症例に関する臨床診断を詳細に検討する。このほか、アミロイドPETの臨床への影響と有用性に関する論文作成を行う。
現状では必要なデータ管理や統計ソフトなどの物品費、臨床研究保険などの支払いは終了しており、今後は研究成果発表のための旅費や英文校正など論文投稿に関する出費が大半となる。しかしながら、昨今の円安などの影響もあり、海外渡航費や雑誌掲載料などの支出増加が予想される。

次年度の研究費の使用計画

研究代表者の予期せぬ急病により数週間の入院加療を行った。このため、若干の患者リクルートに延長があったが、本年度までに予定人数を終了した。現在はデータ解析を行っているが、学会発表や論文掲載に関連した費用を繰り越して使用する必要がある。
繰り越し分は主に論文掲載や学会発表などに関連した費用として使用する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Concordance between 99m Tc-ECD SPECT and 18 F-FDG PET interpretations in patients with cognitive disorders diagnosed according to NIA-AA criteria.2014

    • 著者名/発表者名
      Ito K, Shimano Y, Imabayashi E, Nakata Y, Omachi Y, Sato N, Arima K, Matsuda H.
    • 雑誌名

      Int J Geriatr Psychiatry.

      巻: [Epub ahead of print] ページ: 未定

    • DOI

      10.1002/gps.4102.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Massive accumulation of 11C-Pittsburg compound B in the occipital lobes of a patient with early-onset dementia accompanied by muscle weakness and hypertonicity.2013

    • 著者名/発表者名
      Ito K, Sano T, Kamiya K, Nakata Y, Shigemoto Y, Sato N, Oya Y, Matsuda H.
    • 雑誌名

      Ann Nucl Med.

      巻: 27 ページ: 935-941

    • DOI

      10.1007/s12149-013-0762-0.

    • 査読あり
  • [学会発表] 本邦での認知症診療におけるアミロイドイメージングを使用したNIA-AAの診断基準導入の検討2014

    • 著者名/発表者名
      伊藤公輝
    • 学会等名
      第53回日本核医学学会総会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20141108-20141110
  • [学会発表] Comparison with diagnostic abilities of two software in the patients with amyloid PET positive Alzheimer's disease."Vocel based Specific Regional Analysis System for Alzheimer's disease (VSRAD)" in MRI versus "Specific volumetric analysis (SVA)" in brain perfusion SPECT2014

    • 著者名/発表者名
      Ito kimiteru
    • 学会等名
      KSNHNR Annual Meeting & neuroradiology Forum 2014
    • 発表場所
      Inchon Korea
    • 年月日
      20140418-20140419
  • [学会発表] 99mTc-ECD SPECTと18F-FDG PETの視覚評価を使用した集積一致率に関する検討

    • 著者名/発表者名
      伊藤公輝
    • 学会等名
      第80回日本核医学学会関東甲信越地方会
    • 発表場所
      東京
  • [学会発表] 後頭葉に著明なPiB集積を認めた若年性認知症の一例

    • 著者名/発表者名
      伊藤公輝
    • 学会等名
      第79回日本核医学学会関東甲信越地方会
    • 発表場所
      東京
  • [図書] ここが知りたい 認知症の画像診断 Q&A2013

    • 著者名/発表者名
      松田博史、朝田隆、佐藤典子、根本清貴、徳丸阿耶、伊藤公輝
    • 総ページ数
      207
    • 出版者
      harunosora

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公開日: 2015-05-28  

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