研究課題/領域番号 |
24791377
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
三好 健太郎 岡山大学, 大学病院, 助教 (50534773)
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キーワード | 抗HLA抗体 / IgM / 肺移植 / 免疫学的活動性 |
研究概要 |
研究A: Flow PRA-IgM法の確立 Flow PRA (One Lambda) HLA classI ,IIパネルビーズおよびコントロールビーズを用い、さらにこれを抗ヒトFITC標識抗体を用いてラベルしてFlow cytometryする手法で測定することが可能となっている。研究初年度にて終了。 研究B:肺移植後急性期の患者サンプルを用いた後ろ向き検討 本年度は臨床脳死肺移植患者の移植後急性期14日間の血液検体について、20症例のサンプル回収を行った。またこれらの症例のその他の臨床的なパラメータ(炎症マーカー、免疫抑制剤トラフ値、腎機能値、併発する感染のstatusなど)についてデータベースの作成を行った。うち同期間に急性拒絶反応を発症した8例について、抗HLA-IgM価のBase line値からの上昇を認めている。また拒絶反応を臨床的に発症していない症例においても、おそらく免疫学的活動性に応じて抗HLA-IgM価が日々変動していることが確認されている。また、コントロール群として設定した開胸肺切除を行った患者3名について術後急性期の血液サンプル回収を行い、抗HLA-IgM価測定を行っており、軽度の変動はあるものの、急性期経過中の変動幅は少ないことを確認している。さらに対象患者数を増やして、臨床上の拒絶反応イベントや免疫抑制剤トラフ値と抗HLA-IgM価との相関の有無、急性拒絶反応発症ハイリスクを示唆するIgMカットオフ値の決定について統計学的解析に耐えうる症例数蓄積を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在研究対象症例およびサンプルをさらに蓄積中である。脳死肺移植は定期的に実施される症例頻度の多い治療ではないので、対象症例数およびサンプル数の蓄積の速度には限度があるため、研究の進行速度には制限が生じうる。
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今後の研究の推進方策 |
さらに症例数を蓄積し、随時データベースを更新して、統計学的に目的としている科学的結論が導きだせることを確認していく。以上の後ろ向き検討で、本研究で設定した仮説が実証されれば、研究Cとして設定した抗HLA抗体価に応じた免疫抑制剤の積極的減量法の前向き検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
もともと3年間の研究計画であり、科学的結論を得るためにはさらに症例データ蓄積を要する。 検体解析に必要な試薬購入、学会・論文発表に必要な経費に使用する計画である。
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