本研究ではHLAに対するIgM抗体価が肺移植後拒絶反応の活動性の指標となるかを検討した。まず任意の被験者の血清を利用してFlow PRA法による患者血清中のIgM価測定法を確立した。次に肺移植患者の血清について急性拒絶反応発症時と非発症時の測定値に差があり拒絶反応に伴う上昇を認めることを確認した。さらに一般胸部外科手術後患者の血清を利用し、HLA-IgM価が手術侵襲にて非特異的に変動する可能性はあるが、肺移植後と比較すると上昇は軽微である可能性が示唆された。以上よりHLA-IgMモニタリングが肺移植後拒絶反応の発症予測、免疫抑制剤投与量の決定に役立つ特異的マーカーとなりうる可能性が示唆された。
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