本研究はリンパ浮腫の新規治療開発を目的に行われた。まず印刷技術を用いて生体外で作成した毛細リンパ管シートの局所移植によるリンパ浮腫治療を試みたが、移植可能な安定したリンパ管を羊膜上で作成することが困難であることが判明した。そのため組織移植から細胞治療に実験を変更し、ヒト脂肪細胞由来間葉系幹細胞を利用し培養上清の局所注入によるリンパ管再生を試みた。その結果、浮腫がやや悪化し、炎症による影響が示唆された。次に、抗炎症作用を持つ皮膚外用剤を浮腫部位に塗布したところ、浮腫が軽減傾向となった。以上によりリンパ浮腫治療において炎症の関与が示唆され、外用剤による治療が有用である可能性が考えられた。
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