研究課題
H24年度は正常マウス内耳のにおけるセロトニン受容体3遺伝子の局在をRT-PCR、in situ hybridization法を用いて確認した。その結果、前庭神経節、らせん神経節に主にセロトニン受容体3遺伝子が発現していることが解った。1.H25年度はさらに前庭神経節においてセロトニン受容体3遺伝子発現している細胞に特徴を詳細に解析した。その結果、中型から大型の細胞に多く発現していることが解った。過去の報告をもとに考察すると、I型前庭有毛細胞から入力を受ける前庭神経節細胞の分布とおおむね一致していた。よって、セロトニン受容体3遺伝子が末梢平衡感覚の遠心路への関与も推定することができた。さらに、前庭神経節に発現しているセロトニン受容体3遺伝子が機能的なイオンチャネルを有しているかをカルシウムイメージング法を用いて評価した。正常の前庭神経節細胞はセロトニン受容体3のアゴニストであるSR57227Aを作用させると約三割の細胞で細胞内カルシウムイオンの上昇が認められたが、セロトニン受容体3ノックアウトマウスの前庭神経節細胞では上昇が認められなかった。つまり、前庭神経節細胞は機能的なイオンチャネルを有するセロトニン受容体3が存在していることが証明された。2.平衡機能検査装置の作製、評価:マウス用回転検査装置を回転刺激にて半規管機能を評価するために作製した。回転台にCCDカメラを準備しマウス頭部を固定した後、眼球をCCDカメラで撮影しその映像を三次元解析した。頭部固定や眼球を有効に撮影することなど難渋する点が多かったが工夫を重ね完成し、コントロールのデータで機能解析データを得ることに成功した。引き続き、作製した平衡機能装置を用いて、内耳障害モデルマウスやセロトニン受容体3ノックアウトマウスでの平衡機能評価を通じて末梢平衡感覚におけるセロトニン受容体3の機能解析を進めていく必要がある。
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Brain Research
巻: 1557 ページ: 74-82