急性音響性聴覚障害モデル動物において、蝸牛内直流電位(EP)が低下することが知られている。無呼吸負荷や高濃度フロセミドの全身投与によってもEPは低下し、同時に蝸牛内リンパ腔のCa2+濃度([Ca]e)が上昇する。 高Ca2+濃度人工内リンパ液の注入により[Ca]eを上昇させてもEPは変化せず、これにイオノマイシンの内リンパ腔投与を追加するとEPの低下が観察された。よって、EP低下に伴う2次的な事象として[Ca]e上昇が起こり、内リンパ腔を取り巻く細胞の細胞内Ca2+濃度が、EPの維持・産生に重要な役割を果たしていると考えられた。
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