研究課題/領域番号 |
24792006
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
中島 英行 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (30437032)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 温熱療法 / 分子標的薬 / 口腔癌 |
研究概要 |
【培養細胞実験】(I)ヒト扁平上皮癌細胞株(SCC-25,HSC-3)において、加温ありと加温なしの群とでIL-13Ra2の発現レベルの比較検討をRT-PCRを用いて行った。加温群において、加温後6時間よりIL-13Rの発現レベルの上昇を認め、加温後24時間で発現のピークを観察した。一方、非加温群においては発現の変化は認められなかった。(II)In vitroにおける温熱とIL13-PEとの併用効果の検討。(I)で得られた条件のもと6cm dishに上記細胞を培養し、次のグループに分けて検討を行った。《グループ(i)コントロール、(ii)温熱療法のみ、(iii)IL13-PEのみ、(iv)温熱療法+IL13-PE》。Cell viabililty assayにおいて、SCC-25,HSC-3の細胞株とともに加温群で、非加温群と比較して、細胞の抗増殖抑制効果が観察された。また、細胞を加温し、24時間後にIL13-PEを投与し、Protein synthesis assayにて抗腫瘍効果を観察したところ、加温群において濃度依存的に抗腫瘍効果の増加を認めた。今後、Cell apoptosis (Tunel) assayにて併用療法がアポトーシス誘導による細胞死を誘導しているかの検討を行っていく予定である。 【動物実験】(I)ヒト扁平上皮癌細胞のヌードマウスへの移植、腫瘍形成:SCC25,HSC-3をヌードマウス(nu/nu Balb/c)へ移植し皮下腫瘍の形成を行っている。安定した腫瘍の生着のために、細胞数などの条件検討を行っている。今後は腫瘍の生着が得られれば、温熱療法ならびにIL13‐PEの投与を行い、それぞれのマウスへの安全性が得られた段階で併用療法を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現地点での到達目標は、in vioにおいてマウスに移植した腫瘍に対して、温熱療法+分子標的薬の併用療法を開始し、その抗腫瘍効果の評価を行っていることである。しかし今のところ、その前段階の腫瘍移植のための条件検討を行っているところであり、やや遅れていると考えた。 しかし、目標としていたin vitroでの実験は順調に行え、in vivoへの実験に進めたことは良い点であると考えられる。 またICHO&JCTM(国際ハイパーサーミア学会 京都)ならびに、Dia-Can's 2012(India)において、in vitroまでの研究結果を発表できた点についても一つの成果であり、目標を達成できたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、共同研究者である当科の大学院生と共に、研究指導を行いながらin vivoでの温熱療法+分子標的薬(IL13-PE)の併用療法を行い、抗腫瘍効果を観察する。またそのメカニズムを調べるために、マウスからの組織、臓器を回収し、RT-PCR、免疫染色などにより解析を行う。 in vivo実験の終了期限を2013年の11月とし、その後は実験結果を整理し、可能であれば2014年4月までに論文投稿を目標とする。 2013年6月には共同研究者であるDr.Puri(FDA/USA)とのミーティングを行い、進捗状況ならびに今後の実験に対してのアドバイスを頂く予定である。 2013年8月に行われる第30回日本ハイパーサーミア学会にて、これまでの研究結果について発表を行う予定である。また他の研究者との交流から情報交換を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年に実験機材の購入が行えなかったことから繰越金が生じた そこで平成24年、25年と合わせた使用計画内容として、 1、実験機材の購入、RNA抽出に必要な実験キット。in vivo実験のためのマウスの購入。 2、共同実験者との打ち合わせや、学会参加費用。 3、論文投稿への費用 が予定とされる。
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