本研究では、歯の再植・移植後には殆どの象牙芽細胞がアポトーシスにより死滅し、歯髄広範にわたる細胞増殖の後に歯髄幹細胞が象牙芽細胞に分化し、歯髄幹細胞が死滅すると歯髄内に骨組織が惹起されるが示唆された。また、歯の損傷後の歯髄には非歯髄固有細胞が歯髄内に侵入すること、歯髄幹細胞が存在すると思われる歯髄中央部血管周囲に古典的Wntシグナルが一過性に発現が上がることから、歯髄幹細胞ニッチの維持へのWntシグナルの関与が見られた。以上より、歯の再植・移植後の歯髄では、ダイナミックなドナー・ホスト間または歯髄・歯周組織間相互作用が起こり、歯髄構成細胞が大きく変化することが示唆された。
|