口腔癌は強い局所浸潤能や頸部リンパ節転移能を有し、現在のところ口腔癌の転移を抑制する有効な化学療法は確立されていない。本研究の目的は血管新生抑制効果が期待されるセレニウム化合物を用いて、従来の化学療法では対応できなかった口腔癌の血管新生・転移の抑制および低酸素環境下での腫瘍抑制を目指すことを目的とした。口腔癌細胞株においてセレニウ化合物selenite処理により有意な増殖抑制、アポトーシス誘導効果が認められた。また、癌血管新生、癌転移に関わる分子の抑制も認められた。このことからSeleniteはアポトーシス誘導能の他に癌血管新生・転移抑制能を有していることが示唆された。
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