研究概要 |
本年度は低出力パルス超音波刺激(LIPUS)によるin vitroでの効果検証とマウス胎仔頭蓋骨のex vivo培養系を用いた効果検証を行った。in vitroでの培養細胞に対する効果検証にはMC3T3E1,RAW264.7, に対して刺激開始1、4、7日目のmRNA発現状況をリアルタイムPCRによって検討した。ex vivo培養系では、頭蓋骨のパターニングが完了したE15.5のマウス胎仔より摘出した頭蓋骨を用い、培養開始前、および培養開始後7、14日目の骨形成状況を組織学的に検討した。 MC3T3E1細胞に対する刺激により骨芽細胞分化マーカーALP, BSP, OCの発現上昇が刺激開始後4日目、7日目で観察された。この効果は、陽性コントロールとして用いた、既知の骨芽細胞分化促進剤であるSAGおよびTHの組合せ効果とほぼ同じ傾向を示しており、また、LIPUS刺激が骨芽細胞分化を促す先行研究におけるデータを追従する結果を得られた。RAW264.7に対するLIPUS刺激では、破骨細胞分化マーカーItgb3,TART,CATK, MMP9の発現上昇が刺激開始後4日目、7日目で観察された。この結果は、陽性コントロールとして用いたRANKL刺激とほぼ同じ傾向を示し、かつ陰性コントロールでは発現上昇が起こらない状況から、LIPUS刺激による効果と考えられた。 ex vivo培養系では、LIPUS未刺激群では14日間の培養のうちに著しく変形を伴うのに対し、LIPUS刺激によって、骨形成が促進されるために変形がわずかであった。このことはLIPUS刺激による骨形成のために骨格形態が保たれたものと考えられた。また、組織学的にも14日目頭蓋骨でLIPUS刺激を与えたものに有意な骨形成が認めた。
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