我々は、種々の形成段階にある抜去智歯より歯髄細胞(DPCs)を多数樹立し、その初期化能について解析・検討を行ってきた。その結果DPCsの初期化能は由来するドナー歯の形成段階に大きく依存し、歯根未完成期DPCsは歯根完成期DPCsに比べて、著明に初期化能が高いことが分かった。DNAマイクロアレイを用いて、両群の遺伝子発現量について網羅的に解析したところ、歯根未完成期DPCsは歯根完成期に比べ、DLX4の発現レベルが著明に高く、実際にDLX4を誘導因子として用いると、歯根完成期DPCsだけでなく、ヒト皮膚線維芽細胞の初期化を促進する効果があることを発見した。
|