研究課題/領域番号 |
24792420
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
藤原 史博 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (00584210)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 世代継承性 |
研究概要 |
平成24年度は、世代継承性自体や関連する概念について文献の収集ならびにレビューを実施した。また、看護師に対する世代継承性にかかる面接調査の結果を定性的に分析した内容について、概念図としてモデル化した。Eriksonの言う発達課題に照らして世代継承性を発揮する時期にある看護師は、次世代を担う後進の看護師に対して「指導」の役割と「支持」の役割を果たしていた。これらの役割を先達の看護師らは日々の看護実践の中で継続的に発揮していた。また、特徴として、世代継承の展開は先達から後進に対する一方向的な発揮ではないことが確認された。先達の看護師が後進に対する「指導」と「支持」の役割を担うにつれて先達の看護師としての熟達が促進されることや、先達の看護師が看護実践を通して熟達するに従い後進に対する世代継承的関与である「指導」と「支持」の内容的な水準が高揚する可能性が示された。すなわち、看護師にとっての世代継承を発揮するプロセスにおいては、先達の看護師ならびに後進の看護師それぞれにとって相補的に、看護師としての看護実践能力をはじめとする熟達の水準を高め得ることが示唆された。 このように、職位を有しない看護師における世代継承の構造と過程について明らかにし、概念図としてモデル化した。今後は職位を有する看護師―すなわち看護師長ならびに看護部長のそれぞれに対して面接調査を実施し、看護管理者における世代継承性の構造と過程について明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に実施する調査に関し、既に研究倫理審査を通過しており研究依頼を行うことができる段階に到達しているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、看護管理者(看護師長・看護部長)における世代継承性の構造と過程を明らかにする。この段階に到達した時点で、看護単位内で後進に対して実質的な育成にかかる役割を果たしている看護師、看護単位に所属している看護師らの育成を直接的また間接的に支援する立場にある看護師長、病院組織内の複数の看護単位を看護部門の長として総べる立場にある看護部長という3つの職位に関する世代継承性が明らかになる。 次いで、平成26年度は、先述の、看護師、看護師長、看護部長の立場にある者が、実際的にどのように世代継承性の発揮を行っているかに関し、特定組織へのフィールドリサーチもしくは広く量的に調査を実施し、看護師としての世代継承について概念・モデルの検証を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の調査では、データの理論的飽和を見込んだ調査を想定しているため具体的な調査対象者数は未定だが、これまでの調査を踏まえれば計40~50名の個別面接調査を予定している。協力者の方々による専門的知識の提供に対するへの謝礼が必要となる。また、得たデータについて研究者が分析に専念できるよう、面接での録音データを逐語記録化するための作業を外部委託することを見込んでいる。そのための研究費の執行についても割り当て金額の大部分を占めることを想定している。
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