研究課題/領域番号 |
24792420
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
藤原 史博 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (00584210)
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キーワード | 世代継承性 / 人材育成 / 教育的ケアリング / 看護師 / 看護師長 / 看護部長 / 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ |
研究概要 |
平成25年度は、平成24年度にモデル化した中堅期にある看護師の世代継承性の結果に続き、看護師長あるいは看護部長の職位にある看護師の世代継承性を明らかにすべく調査を行っている。調査は、協力依頼をお引き受け下さった研究協力者(看護師長あるいは看護部長の職位にある看護師)に対し、個別的に半構造化面接を実施している。分析は、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチに基づき定性的に行っている。報告時点では看護師長16名、看護部長12名の面接を終えているが、理論的飽和に至るには追加の面接調査が必要である。 次に、報告時点での分析結果について述べる。看護単位の看護管理者である看護師長においては、次代の看護師長として【後任を担うに足る人材を育成する】こと、自身が管理する看護単位に所属する【部下を介して看護を実現する】こと、患者にとっての看護を遂行する傍らで生じ得る【部下に及ぶ危害を上司として護る】ことの3点が中核的な概念として挙がった。看護部門を率いる看護部長(副病院長職を兼務する看護部長を含む)においてはさらに、集合研修の場や看護師長を介して看護部門の長として【部下個々人に語りかける】こと、看護の現場に【変革が生じるよう仕掛ける】こと、部門の総意として望ましいと考える看護や医療の【理想が実現するよう組織を動かす】ことの3点が中核的な概念として挙がった。これらのコアとなる概念は中堅期にある看護師の世代継承性としては含まれていなかった内容であり、職位を有する看護師ならではの要素が色濃く表現されていた。 以後、理論的飽和に向けた追加的な調査を行い、看護師長あるいは看護部長としての世代継承性について明らかにし、確定させる。そのうえで関連する理論との議論を行い、内容の検証を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題では、研究者が所属する研究機関所在地を起点に、一定範囲の自治体内に立地する病院組織(操作的に一般病床として150床以上の病床を有する総合病院)から無作為に研究依頼を行うこととしていたが、依頼に対する反応が少ないことや、依頼に応じるかの人数が少ないことが影響し、当初予定していた時期に理論的飽和を満たすことができていないことによる。報告時点での分析の状況からすれば、平成26年度夏季頃には理論的飽和を満たすことができると想定している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、看護師長あるいは看護部長としての世代継承性について理論的飽和を迎えるべく追加的な調査ならびに分析を行い、それぞれについてモデル化を行う。これにより「中堅看護師」「看護師長」「看護部長」といった3つの区分における世代継承性が明らかになる。次いで、それぞれの概念やモデルを対比させ、各区分について類似する内容あるいは特異的な内容を特定し、関連する理論との議論を経て「看護師の世代継承性モデル」について検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に本来執行予定であった、音声データからの文字起こしの作業を外注するにあたり、研究協力者との面接が予定よりも少ない人数であったために、当該支出もそれに伴って減額となったことによる。 平成26年度に追加的な面接調査を行い、平成25年度に執行予定であった文字起こしの外注を執行する予定である。したがって調査にかかる旅費についても追加的に必要となる。データ量が増え、それに伴い分析も複雑になりPCの過負荷が生じていることからスペックを補強するための機材を購入予定である。また、平成26年度が助成の最終年度であることから、研究協力者の方々に研究成果物を郵送するための諸経費、学会参加・発表ならびに論文投稿に係る費用についても執行予定である。
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