本研究は、1900年代のイングランドにおける質保証の歴史的展開について検討した。教育の質は19世紀末まで、大学補助金諮問委員会の視察によって、技術・専門職教育とは一線を画すアーツアンドサイエンス教育の実施状況という視点から評価されていた。1900年代に、カレッジから昇格した「市民大学」において多種多様な学位が創設されたことに伴い、試験科目にも変化が見られるようになった。そこで政府は、大学教育の質を保証するために、それまでの大学補助金諮問委員会による視察に加えて、各大学にピアレビューを義務づけた。両者は、相互補完的に連関しながら質保証としての機能を果たしたと考えられる。
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