本研究ではアルコール依存症者に対する新たな治療プログラムの開発を行った。これまでのアルコール依存症治療は、認知行動療法や心理教育が中心であった。しかし、アルコール依存症者には否認性や防衛性の問題があり、心理的な治療の導入が困難であった。そこで、本研究では心理劇や動作法といったアクション・メソッド(行為法)を用いた治療プログラムの開発を行った。心理劇とは即興劇を用いる集団心理療法である。臨床動作法とは身体動作を媒介とした心理療法である。これらの方法を、対象者の特性に応じて適用することで、これまで心理的治療の導入が難しいとされているアルコール依存症の回復に効果的であることが示された。
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