研究課題
i)PTX3の分子認識機構と自然免疫ヒストンH3について、HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)傷害に関与する部位を調べるため、部分ペプチドを作製し傷害活性を調べた。その結果、C端30アミノ酸部位が明確な活性を有することを突き止めた。20アミノ酸では、データが安定せず、高次構造が必要なものと考えられる。PTX3についてもN端半分のペプチド断片からさらにヒストン相互作用部位を絞り込み、N端ペプチドを同定した。このペプチドはMDシミュレーションにより、構造をとらないと予測された。また、断片化したペプチドを用いても凝集反応は見られ、凝集反応が起こらない相互作用ペプチドは今後とも探索が必要と考えられる。また、ヒストンH3に対する抗体を作製した。ii)RNAプロセッシングと細胞周期および細胞分化とのかかわりWTAPの特異抗体を用いて、HUVECにて免沈ショットガンプロテオミクスにより同定した複合体タンパク質について、CBLL1とはRINGフィンガーで相互作用し、またBCLF1/THRAP3ヘテロマーと相互作用することにより、核スペックルに局在することを明らかにした。核スペックルではMALAT1とも相互作用し、スプライシングに関与していることが示唆された。また、WTAP自身のオルタナティブスプライシングに関与することをプローブ作製により示した。これらの知見をJBC誌に発表した。本論文で発表したWTAP複合体にはm(6)A methyltransferase (MTA70)が含まれており、RNA修飾の役割も示唆された。WTAPとRNAの相互作用を解析するため、精製系を大腸菌とバキュロウイルス発現系で試みたが、収率の問題や多量体化の問題などが明らかになり、精製条件の最適化が必要と考えられた。
3: やや遅れている
WTAPタンパク質の精製により、RNAとの相互作用を解析する目的で、大腸菌とバキュロ発現系を試行したが、多量体化のためか収量が少なく、条件決めに難航した。また、シミュレーションに関しても、PTX3のN端は構造をとらない可能性が高いことが判明し、抗体作製等、戦略の練り直しが必要と考えられた。
精製法を大腸菌発現系にしぼり、変異導入等、条件決めのスピードをあげる。WTAPのバイオロジーからの戦略を広げるため、血球分化の系の解析を展開する。ヒストンの細胞傷害活性についても分子メカニズム解析を行い、バイオマーカーの探索を行う。それによりPTX3の敗血症における治療薬戦略をひろげる。
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