研究課題/領域番号 |
25220701
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
向井 茂 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (80115641)
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研究分担者 |
中島 啓 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (00201666)
吉川 謙一 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20242810)
小木曽 啓示 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40224133)
森脇 淳 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70191062)
宍倉 光広 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70192606)
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研究期間 (年度) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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キーワード | 代数幾何学 / エンリケス曲面 / K3曲面 / 複素力学系 / 算術的多様体 / モジュライ空間 / CalabiYau多様体 |
研究実績の概要 |
向井と大橋はエンリケス曲面を研究し、Mathieu的に作用する有限群の複素数体上での分類を、標数零への持ち上げを用いて、正標数に拡張した。そのために6次交代群の作用するものを再構成した。さらに、これを含む数種類のエンリケス曲面の(無限)自己同型群を決定した。小木曽も自己同型の標数零への持ち上げを研究し、Artin不変量1の超特異K3曲面は殆どの場合に持ち上げ不可な自己同型をもつことを示した。中山は同型でない自己射をもつ正規曲面の分類を研究し、ある候補の場合に、特性完全不変因子を用いて曲面の構造解明を試みた。並河は conical シンプレクティック多様体のポアソン変形や双有理幾何について研究し、次元と極大ウェイトを固定すると、同型類は有限個であることを示した。阿部は射影平面上の層のモジュライ空間上の直線束の大域切断に関する「奇妙な双対性」予想を研究した。モジュライ空間の対に対する予想であるが、どちらか一つが高さ零のときは正しいことを示した。 吉川と馬は対合付きK3曲面の解析的捩率不変量をモジュライ空間上の関数として決定し、全て楕円モジュラー的であることを示した。馬は直交群に付随したモジュラー多様体の双有理型を調べ、Gritsenko-Nikulinの予想を証明した。森脇は、複素固有代数多様体上の半豊富な可逆層の連続な半正定値計量は半豊富であることを示し、以前の予想を超える結果を得た。非アルキメデス的体上でも類似の結果を得ている。川口は数体上の代数多様体の自己有理写像の算術的性質や非アルキメデス体上に定義された代数曲線の忠実トロピカル化についての研究を行った。 中島は、3次元 N = 4 ゲージ理論のクーロン枝のアファイン多様体としての数学的定義を与えた。宍倉は、トロピカル複素力学系を用いて、手術による複素力学系の構成し、与えられた配置を実現する有理関数の次数を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2015年3月中旬にDolgachev教授が数理解析研究所に2ヶ月間の予定で来られ、それに合わせて、連携研究者である大橋久範(東京理科大)も数理解析研究所に3週間滞在した。エンリケス曲面、特に、半シンプレクティックでない自己同型やmod 2還元等について密な議論が出来て、研究が大きく進展した。議論の産物の一つとして、金銅のII型エンリケス曲面(1次元族)の新しい表示が得られたている。大橋はもう一度来所してDolgachev教授との議論を続ける予定である。また,代表者(向井)もCoble曲面に関する有益な研究連絡が出来た。
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今後の研究の推進方策 |
2013年11月より雇用したポスドク (M. Wandel)に彼の研究テーマ(高次元正則シンプレクティック多様体)に関連した国際研究集会を京都大学で開催してもらう。また、10月の城崎代数幾何シンポジウム等の機会も利用して国外研究者との連絡を密に行う。2015年夏頃には複素力学系の研究者であるKyounghee Kim(フロリダ大学)が京都大学に客員教授として来られるので、複素力学系の研究に加わっていただく。
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