研究課題/領域番号 |
25244012
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
伊藤 鉄也 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (10232456)
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研究分担者 |
野本 忠司 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (20321557)
海野 圭介 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (80346155)
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研究期間 (年度) |
2013-10-21 – 2017-03-31
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キーワード | 源氏物語 / 翻訳 / 日本文化 / 十帖源氏 / グロッサリー |
研究実績の概要 |
本科研では、1-翻訳から見た日本文化の変容、2-『十帖源氏』の翻訳と研究、3-グロッサリーの研究と編纂、という3つの課題に取り組んでいる。平成26年度は、以下の通り多様な成果をホームページ「海外源氏情報」(http://genjiito.org)を通して公開できた。 海外で各国語に翻訳された『源氏物語』および「平安文学」についての情報は、次の項目に整理して公開した。〈1〉『源氏物語』翻訳史年表、〈2〉「平安文学」翻訳史年表、〈3〉翻訳─源氏物語・平安文学論文検索、〈4〉源氏物語情報─『源氏物語』原本データベース、〈5〉平安文学情報(平安文学関連Webサイト1〜3公開)、〈6〉翻訳・海外資料の公開。 各国語訳『源氏物語』の調査研究は、スペイン語訳に焦点をあてた。翻訳する言語及び文化に存在しない事物を訳出する場合、一つの変容のパターンを確認することができた。『十帖源氏』の翻訳と研究では「桐壺」巻の多言語翻訳を進め、「母語話者」と「非母語話者」に5種類の言語の翻訳を依頼し成果を得た。グロッサリーの研究と編纂に関しては、研究分担者である海野圭介氏の論文「「読み」の歴史─中世における古今和歌集の読み解きをめぐって─」」に収録された和英対照表を試行版テキストとした。 対外的な活動として、2014年9月にカナダで国際研究交流集会(於:ブリティッシュ・コロンビア大学)を開催した。それを受けて、本科研の報告書として、『海外平安文学研究ジャーナル』(ISSN番号 2188ー8035)の第1号と2号の2冊を編集した。これはウェブ上に電子ジャーナルとして発行・公開した。 なお、2014年6月7日・8日に開催された中古文学会春季大会(於:立教大学)のフリースペースにおいて、本科研の研究内容の紹介等を行った。研究分担者と研究協力者による研究会は、国際研究交流集会を含めて4回開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
各国語に翻訳された『源氏物語』および「平安文学」に関する情報を整理した後に、データベース化して公開できた点数が予定をはるかに超えるものとなった。『源氏物語』翻訳史─3211件、平安文学翻訳史─3569件、翻訳─源氏物語・平安文学論文検索─3384件、海外の源氏物語・平安文学論文─3124件。また、ホームページへのアクセス数が、国内(約2万)、海外(約1万件)で、この一年間の合計アクセス数は約3万件であった。これも、予想外に好評であったことのあらわれとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
2015年以降に、2種類の英訳『源氏物語』が出版される予定である。どちらも重訳・重版ではなく、新しい翻訳である。このように日々増加していく翻訳書の書誌を整理・調査することで、翻訳された『源氏物語』・「平安文学」における受容相を確認し研究を続けていきたい。 翻訳言語や文化に存在しない語がどのように翻訳されているか、という問題は、本研究の柱となるものである。他の言語から重訳された本に関しては、その底本と本文との関係についても研究を進め、日本文化の変容について考えたい。また、グロッサリーに採録する語を試行版テキストをふまえて精査したい。 こうした調査研究の成果は、ホームページはもとより、『海外平安文学研究ジャーナル』(ISSN番号 2188ー8035)の第3号以降で報告することとなる。
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備考 |
『海外平安文学研究ジャーナル』(Vol.1.0、Vol.2.0)は、本科研のホームページ「海外源氏情報」(http://genjiito.org)から自由にダウンロードできる。
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