研究課題/領域番号 |
25244025
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宇山 智彦 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (40281852)
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研究分担者 |
平野 千果子 武蔵大学, 人文学部, 教授 (00319419)
前川 一郎 創価大学, 文学部, 教授 (10401431)
河西 晃祐 東北学院大学, 文学部, 教授 (10405889)
小沼 孝博 東北学院大学, 文学部, 准教授 (30509378)
秋田 茂 大阪大学, 文学研究科, 教授 (10175789)
水谷 智 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (90411074)
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研究期間 (年度) |
2013-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 比較史 / 植民地 / 帝国 |
研究概要 |
研究の立ち上げに当たり、全体の研究会を2回行った。第1回研究会では、メンバー各自の最近の研究内容や、関連する分野の研究動向・重要文献を紹介し合い、帝国競存体制、「差異の統治」といった帝国論・植民地主義論に関わる諸概念や、異なる地域間での反植民地主義運動の連携と相違などについて、活発に議論した。第2回研究会では、帝国論・植民地主義論において重要な参照枠組みであるロナルド・ロビンソンのコラボレーター論と山室信一の国民帝国論について、理論的射程、個別の地域の研究への応用、修正の可能性、植民地独立・脱植民地化と関連づける際の留意事項などを議論し、またロシアと日本という2つの帝国の植民地となった経験を持つサハリン/樺太や、ロシア帝国と他の帝国にまたがって活動したタタール人についての研究発表を行った(前者は、本研究の経費で雇用した学術研究員による報告)。これらにより、さまざまな関連分野の研究状況に関する認識を深め、異なる地域・時代を専攻するメンバーたちがかなり共通する問題関心を持っていること、今後さらに対話と共同作業を進めていくことができることを確認した。 そのほか、国際シンポジウム「インド人による反植民地主義の越境的軌跡:ヨーロッパと東アジアの経験」(2013年12月7日、京都)を同志社大学人文科学研究所等と共催し、同大学の植民地主義研究グループとの交流を深めるとともに、国内外の専門家と意見交換した。 資料収集の面では、国内の書店を通じて比較植民地史研究に有用な図書を購入したほか、研究分担者2名がイギリスに出張し、それぞれ国立公文書館と大英図書館で、比較植民地史に関する史料調査・収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、年度の半ばを過ぎ、メンバーに既に多くの予定が入っていた時点で採択されたため、日程調整が難しく、研究会等を多数開催するには至らなかった。しかし密度の高い議論をすることにより、メンバー間で研究状況に対する理解と問題関心を共有するという基本目標は達成できた。同志社大学の植民地主義研究グループとの交流など、予定していた以上の成果が挙がった部分もある。応募時点では主に地域別の専門家によるグループ編成であったが、採択後に理論や国際関係に強い専門家たちをメンバーに加えたことは、議論の深みと広がりを増すうえで有益であった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き関連書の合評会や研究報告会を開き、理論的研究や最新の研究成果・潮流を吸収・共有していく。第一次世界大戦開戦100周年でもある2014年(7月)には、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターとの共催で国際シンポジウム「危機の30年:第一次~第二次世界大戦期ユーラシアにおける帝国・暴力・イデオロギー」を開く予定であり、国内外の第一線の植民地史・帝国史研究者との交流・共同研究を飛躍的に拡大させる。
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