研究課題/領域番号 |
25244025
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宇山 智彦 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 教授 (40281852)
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研究分担者 |
平野 千果子 武蔵大学, 人文学部, 教授 (00319419)
秋田 茂 大阪大学, 文学研究科, 教授 (10175789)
前川 一郎 創価大学, 国際教養学部, 教授 (10401431)
河西 晃祐 東北学院大学, 文学部, 教授 (10405889)
小沼 孝博 東北学院大学, 文学部, 准教授 (30509378)
水谷 智 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (90411074)
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研究期間 (年度) |
2013-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 比較史 / 植民地 / 帝国 |
研究実績の概要 |
2015年7月30-31日に、国際シンポジウム「ロシアとグローバルヒストリー」を北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターと共催した。帝国の拡張、人の移動、貿易・交通・電信、社会主義と反帝国主義などをテーマに、ロシア帝国・ソ連を周縁地域の国際関係や世界史との連関に注目して研究している報告者を集めた。またイギリス帝国史やオスマン帝国史の専門家を討論者として、さまざまな帝国・植民地の比較に役立つ議論をすることができた。 2015年12月9日には、国際セミナー「植民地反乱と国家・社会関係:露領中央アジアと英領インドの比較」を開催し、イギリスとフランスから研究者を招いて、英領インドの1857年反乱とロシア領中央アジアの1916年反乱を社会史・社会運動論の観点から比較する議論を行った。 国内の研究者による研究会としては、日本帝国内外の日本人移民・植民に関する最新の研究書の合評会(2015年12月12日。本研究の経費で雇用した学術研究員による企画)や、日仏における植民地記憶・責任論を比較する研究会(同26日)などを行った。 以上の全体企画以外に、研究代表者・研究分担者は、ICCEES(国際中欧・東欧研究協議会)世界大会、世界経済史会議、ロシア史研究会大会などでの成果発表や、清代新疆史に関するシドニー大学の研究者との共同研究を行った。帝国論や植民地史の観点を現在の問題(中央アジアにおける露中関係など)の分析に応用する研究も進展した。 資料収集の面では、書籍のほか、松岡洋右関連の貴重な一次史料群(手記・草稿を含む)を購入した。日本帝国の植民地拡大・統治に関する今後の研究への活用が期待される。また、ロンドンの国立公文書館で1960年代~70年代のアフリカにおけるソ連の反西側プロパガンダの史料を収集し、アフリカにおける冷戦・新植民地主義批判とソ連の関係に関する研究の進展が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べた通り、国際シンポジウムや国際セミナーにおいて大変充実した議論ができ、その他国内外のさまざまな場で活発に研究成果を発信できた。また前年度に引き続き、同志社植民地主義研究会やサハリン・樺太史研究会などとの交流を深めた。国際シンポジウムの前日に別財源で開催した関連企画(ユーラシア諸地域のムスリム知識人とソ連の関係をテーマとしたセッション)などを通して、本研究のネットワークへの若手研究者の参加を促進できたことも特筆できる。資料収集の面では、今後の研究のために重要かつ貴重な資料が、予想以上に収集できた。
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今後の研究の推進方策 |
2回程度の国際ワークショップの開催、国内外の学会での発表などにより、成果の発表と、国内外の第一線の植民地史・帝国史研究者との交流・共同研究を引き続き進める。研究代表者の編著書『ユーラシア近代帝国と現代世界』など新刊書の合評会を行い、これまでの成果への評価・批判を今後の研究に反映させていく。また、論文集等の刊行に取り組む。
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