研究課題/領域番号 |
25245068
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
積山 薫 熊本大学, 文学部, 教授 (70216539)
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研究分担者 |
森 周司 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (10239600)
樋口 貴広 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (30433171)
寺本 渉 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30509089)
山田 実 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30525572)
池田 学 熊本大学, 生命科学研究部 神経精神医学分野, 教授 (60284395)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高齢者 / 認知と運動 / 運動イメージ / 視触覚間干渉課題 / 視覚ワーキングメモリ / 運動介入 |
研究概要 |
【A】高齢者における運動機能と運動イメージ能力との関係を調べる目的で、メンタルローテーション(MR)実験をおこなった。その結果、手のMRは手先の器用さと、足のMRは歩行速度と相関することが示唆されたが、今回の参加者(68~88歳)が高機能に偏っている可能性もうかがわれた。 【B】身体近傍空間の加齢変化を調べるため、視触覚間干渉課題で高齢者(70~84歳)と大学生の比較をおこなった。運動機能(TUG歩行課題)の成績によって2群に分けて分析したところ,高齢者の高成績群では大学生と同様に近距離条件でのみ干渉効果があったのに対し,低成績群では,近および中距離条件で干渉効果が見られた。 【C】高齢者の視覚ワーキングメモリ(WM)は、運動(歩行)機能と相関があることが報告されている。これがどの脳部位の活動と関連しているのかを明らかにするために、高齢者に位置刺激と顔刺激のWM課題でfMRI脳機能計測をおこなった。その結果、歩行速度(10m)が速い高齢者は遅い群に比べ、WM課題中の頭頂葉(precunius)の活動が有意に高いことが明らかとなった。 【D1】二重課題(DT)条件下での運動介入がどのような認知機能を向上させるかを、地域在住高齢者(61~82歳)において検討した。介入群25名に対して、90分間の運動介入を週に1回12週間おこない、介入前と後での運動機能、認知機能を評価し、待機群25名と比較した。その結果、遅延再生を含む記憶などの行動データで、運動介入による有意な向上がみられた。 【D2】足画像を用いたメンタルローテーション(MR)の直後に、立位姿勢動揺量が軽減するかを検証した。実験の結果、約10分間のMR直後に測定した片脚立位バランスにおいて、同容量の軽減効果を認めた。こうした効果は足画像以外の刺激(車画像)のMRでは認められず,また単に足刺激を見るだけでも認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していたほとんどの研究項目において、学会発表できる成果が得られ、今後の論文化の見通しがすでに立っている成果もある。
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今後の研究の推進方策 |
【A】の運動イメージ研究については、高齢被験者のサンプリングに留意して、高機能に偏らないサンプルで、前年度の実験の追試をおこなう。 【B】の身体近傍空間の加齢変化研究については、高齢被験者の数を増やすとともに、平成26年度中に行動データでの論文化をめざす。また、脳波を用いた検討を開始する。 【C】の高齢者の視覚ワーキングメモリと運動能力との関係については、平成26年度中に25年度に収集したfMRIデータでの論文化をめざすとともに、視線計測を用いた検討を開始する。 【D1】の二重課題条件下での運動介入研究については、平成25年度に収集したMRIデータの詳細な解析をすすめ、運動介入がどのような神経基盤で効果を及ぼすのかを明らかにする。 【D2】の足画像を用いたメンタルローテーション(MR)による介入については、平成26年度は若年者でのさらに詳細な条件分析をおこなう。
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