研究課題
ナノ㍍オーダーの極細半導体細線に蓄積される一次元電子ガス(1DEG)は伝導帯電子状態密度の離散化に伴う量子サイズ効果に起因したユニークな光・電子・磁気物性を示すことから、1DEG形成により金属酸化物半導体の物性を化合物半導体以上に高めることが可能と考えられる。本研究では、AFMリソグラフィー技術を利用して、金属酸化物半導体上にナノ㍍オーダーの極細1DEGを電界誘起することで超巨大熱電能の観測を試みてきた。初年度・二年目に当初計画通り「含水ナノ多孔性ガラス」中の水の電気分解を利用したSrTiO3単結晶上への一次元電子ガス誘起を試みたが、書き込みはできるものの不安定で、熱電能などの電気計測を行うことが出来なかったため、三年目には機能性酸化物薄膜全体を「含水ナノ多孔性ガラス」を用いて電気化学的に酸化・プロトン化することで絶縁体⇔金属変化を安定化し、VO2薄膜オンデマンド赤外線透過・遮断デバイス、SrCoOx薄膜電気・磁気メモリーデバイスの作製に成功した。最終年度となる2016年度は、これらのデバイスの知見を活かして、酸化還元反応を利用した機能性酸化物の物性可逆変調を進化させた。具体的には、「電子カーテン」として最近注目を浴びているエレクトロクロミック材料に、薄膜トランジスタ構造を適用することで、無色透明⇔黒色の色変化で情報を表示・記憶し、同時に電気を通す⇔通さない(=電子情報)を記憶し、読み出すことが可能な、新しい情報表示・記憶装置の開発に成功した。本装置は、室温で製造できることから、安価で、大面積化が容易という特長がある。また、情報記憶後は待機電力がゼロになるため省エネである。例えば、鏡や窓ガラスに情報を表示し、記憶する装置として応用できると期待している。(プレス発表後、新聞等に掲載された)
28年度が最終年度であるため、記入しない。
大学ジャーナルオンライン(2016.5.21)、科学新聞(2016.5.27)、月刊OPTRONICS(2016.5.24)、日刊工業新聞(2016.6.1)他、海外を合せると20件のメディア報道があった。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (34件) (うち国際学会 17件、 招待講演 7件) 図書 (1件) 備考 (3件)
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