研究課題/領域番号 |
25250028
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
森 浩禎 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (90182203)
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研究分担者 |
田村 武幸 京都大学, 化学研究所, 助教 (00437261)
松野 浩嗣 山口大学, 理工学研究科, 教授 (10181744)
山田 守 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30174741)
牧 泰史 大阪医科大学, 医学部, 講師 (60401733)
中東 憲治 慶應義塾大学, その他の研究科, 准教授 (70322740)
遠里 由佳子 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (80346171)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大腸菌 / 分子バーコード / 一遺伝子欠失株 / 二重欠失株 / 長期定常期 / population変動 / 遺伝的ネットワーク / 細胞内ネットワーク |
研究概要 |
自然環境下での生命は、対数増殖を繰り返す期間は非常に短く、分裂をしない期間が最も長い。これは、真核、原核、単細胞、多細胞を問わず、全ての生命に当てはまる。対数増殖後の定常期、死滅期、長期定常期を経て、分裂再開に至る過程の解析は、これまで解析自体に多くの困難を伴い、未解明のままである。細胞の基本的な生理機能の解明という点から、「細胞とは」という根本的な疑問のみならず、長期定常期でのVBNC(Viable but Non-Culturable)細胞の出現は病原性という観点からも重要な問題である。特に死滅期以降は、対象の細胞数の激減から技術的に研究が難しかったが、2000年以降の研究リソースの整備、解析技術の高度化により解析が可能になりつつある。Bar-code欠失株は、解析感度を劇的に改善するものであり、長期定常期及び再分裂期のきわめて少量の細胞数にその力を発揮する。これまで非常に難しい研究対象であった長期定常期及び分裂再開の細胞内動的機能ネットワークを定量的に解析し、細胞の普遍的生存戦略に迫る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) bar-code欠失株ライブラリー混合培養液の経時サンプルから、ゲノムDNA抽出、bar-code領域の増幅とその配列解析を行い、各欠失株のpopulation変動の解析を行った。細胞増殖を観察できない定常期において、各欠失株の培養液中の相対的なpopulation変動の解析法の確立を行う事ができた。マイニングは、GOを活用したenrichment解析、KEGG pathwayデータによる解析と、特徴的な変動を示す遺伝子欠失株から解析を行っている。特にglpK欠失株が長期定常期において非常に耐性になることを見いだし、現在解析を進めている。 回収ゲノムDNA量とコロニー形成能の変動の食い違いから、DNAは保護されているが、コロニー形成能が無い粒子(VBNC)の存在が示唆された。 2) 接合可動型発現調節プラスミドクローンライブラリーの完成と必須遺伝子欠失株ライブラリーの構築:IPTGによる発現誘導接合伝達プラスミドベクターの開発と、ベクターへの約3500の大腸菌遺伝子のクローン化を行った。現在、プラスミドDNA抽出を行っており、本ライブラリーの維持株として開発したHfr株への形質転換を行っている。 3) リボソームプロファイリング:生育再開時より定常期までのリボソームプロファイル解析の条件検討とプロファイリングを行った。これにより翻訳時の各mRNA上のリボソームが翻訳中の頻度を定量的に解析可能にした。 4) 網羅的全2重欠失株作製による遺伝的ネットワーク解析を、約300遺伝子と、sRNAを含む全欠失株ライブラリーとの組合せで行った。2重欠失株解析は、全遺伝子の総組合せを最終目標として、今後もデータの蓄積を進める。ネットワーク解析はクラスター解析を中心に、GOを活用したenrichment解析、KEGG pathwayデータを活用した、代謝経路との相関を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
Bar-code欠失株のpopulation変動を混合培養液で行うことを可能にし、一見増殖が止まっているように見える培養液の中で、各欠失株はダイナミックにそのpopulationを変動させていることが明らかとなった。さらに欠失している遺伝子を、プラスミドから相補し、過剰生産可能な株の構築が順調に進んできた。すでに欠失株ライブラリーではbar-code解析が可能であることを示したので、同じ方法で、プラスミドによる増産株でも、population変動の解析を進め、loss及びgain of functionでの表現型への影響の解析を網羅的に進める。特に長期定常期における変動とともに、フレッシュな培地に移し生育を再開させた直後からの変動解析を行い、定常状態での種の維持機構と生育開始前後の変動状態の解析を行う。 2重欠失株による遺伝的ネットワーク解析は、引き続き蓄積を行う。特にbar-code解析から顕著な変動を示す遺伝子の欠失株を中心に、2重欠失株による網羅的な遺伝的ネットワーク解析を進める。 研究グループ全体として、山口大の定常期の細胞死から大阪医大グループの生育再開時、を生理機能ネットワーク解析の中心に据え、奈良先端大のbar-code欠失株によるpopulation変動解析、接合による網羅的2重欠失株構築による遺伝的ネットワーク解析、そして、慶應大によるリボソームプロファイル解析の手法により細胞内生理機能ネットワーク変動の定量情報の取得、そして、山口大、京都大、理研のモデル化とシステム解析により、長期定常期から生育再開への細胞内動態の理解を深める。 今年度は各グループの開発は順調に進んでいるので、連携を基盤として、定常期から死滅期を経て、生育再開から対数増殖期への動的変動の統一的モデル化を目指す。
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