研究課題
消化器がんは、がんの中でも最も死亡率が高い。死因の殆どは遠隔転移によるため、その機序の解明と予防・治療法の確立が急務である。本研究では、我々がこれまでにマウスモデルを駆使して得た知見を更に発展させ、大腸がんの転移を抑制するための新たな治療標的を目標とする。具体的には、以下の2項目を研究した。1、大腸がん浸潤・転移におけるCCL15ケモカインの役割:先に発表した結果では、ヒトの大腸がん肝転移巣においてもマウスと同様なCCR1受容体を発現する骨髄由来細胞の存在を確認したが、さらにこれらの細胞を免疫染色による解析を行い、CCR1を発現しCCL15に応答する細胞の実体を詳しく解析した。SMAD4変異の大腸がんではそれらは骨髄由来抑制細胞(MDSC)であることを見いだした。(In press.)。さらに、マウスゲノムのCcr1遺伝子プロモーターの下流に膜繋留蛍光タンパクを発現するトランスジェニックマウスを作出し、初期の転移巣に出現するCCR1発現細胞がMMP9陽性の好中球であり、その後にMMP2陽性のフィブロサイトが集簇することを見いだした(Clin. Exp. Metastasis 2014)。2、Notchシグナル伝達経路による大腸がん浸潤・転移促進機構:大腸がん浸潤を支配する分子機構を同定し最近発表した(Cancer Discovery 2015)。この発見の臨床意義を深めるため、加えて胃がん肺がんなどにおける役割を発見すると同時に、治療的介入により大腸がん転移の患者の予後改善を試みる治療戦略の開発研究を行った。またTrio(pY2681) に対するポリクローナル抗体をモノクローナル化し、力価特異性とも大幅に改善した。治療薬評価のためモデルマウスを再構築(ApcD716→ApcFlox)中である。さらに、転移抑制遺伝子Aesの発現を支配する機構を調べ、論文を投稿した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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