当初の計画通り、①「放射線計測分野(工学)」、②「教育分野(教育学)」+「社会心理分野(社会学)」の3軸で本研究を遂行し、3年間の活動を総括した。 ①放射線計測分野:本研究で設置された検討委員会と関係者ヒアリングの結果を受け、大気圧空気GM計数管の仕組みを応用した教育用簡易放射線検出器を開発した。この開発過程における試行錯誤で得られた放射線計測器設計上の知見を定量的、または定性的に整理した。 ②教育・社会心理学分野:安全文化の基礎となる科学リテラシー等の構築に資する、さまざまな施設におけるPA活動を現場視察、ヒアリングし、最新の情報として整理した。また本研究をIAEAや米国テキサスM&A大学、豪州原子力科学技術機構(ANSTO)等との共同開発研究に展開し、諸外国における中高生やその教員に関する科学技術教育、原子力・放射線教育の現状について最新の状況を幅広く調査し、整理した。さらに教育の視点を広げ、安全文化の醸成の牽引者にもなる専門家の人材育成の現状についても、国内の最新状況を整理した。ここで得られた国内外の動向を基に、学校における放射線教育のための簡易ツールを開発し、それを用いての実践モジュールを策定した。この教育実践モジュールを国内外の中学校、高等学校で試験運用し、反応や効果を繰り返しフィードバックすることで内容をブラッシュアップした。ゲーミングによる体験型研修を応用し、教員向けスキルアップモジュールも試作した。上記の実践教育モジュールの実施機会と組み合わせて、教育現場への統合的で系統的な適用性につき、実践実験した。 関連の成果は学術論文、解説、国内外での講演や学会発表を通じて開示された。国内外の機関、組織から高い評価をいただき、平成28年度以降もスコープとメンバーを拡大して、関連の研究開発を継続することになっている。
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