本研究は、siRNAを腫瘍組織へと安全かつ効率良くデリバリーするための「核酸キャリア」の開発を目的とした。具体的には、優れた組織浸透性を有する最小スケールの核酸キャリアとして、1分子のsiRNAを選択的に封入するユニットポリイオンコンプレックス(以下、ユニットPIC)を提案した。一連の評価を通じて、ブロック共重合体の化学構造と重合度を調節することで、1分子のsiRNAが選択的に封入されたユニットPICを構築できること、生体内での優れた安定性と腫瘍組織集積性・浸透性が得られること、がん治療用核酸を内包することで有意な抗腫瘍効果が得られることが明らかになった。
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