研究課題/領域番号 |
25284177
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
岡田 浩樹 神戸大学, その他の研究科, 教授 (90299058)
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研究分担者 |
政岡 伸洋 東北学院大学, 文学部, 教授 (60352085)
飯田 卓 国立民族学博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (30332191)
島村 恭則 関西学院大学, 社会学部, 教授 (10311135)
高 正子 神戸大学, 国際文化学部, 講師 (80441418)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 社会史 / 多文化共生 / ネットワーク / マイノリティ / 移民送出 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、平成25年度に引き続き、①長田区を中心とした地域社会史の再構成作業、②マイノリティの出身地におけるフィールドワーク、③理論的検討を行った。加えて、③マイノリティ間の相互関係に焦点を絞った資料収集と聞き取り調査を行う。平成26年度は神戸長田区に加え、比較検討の対象として神戸市灘区、西宮市、尼崎市を加え、資料調査および現地調査を実施した。 また、与論島における現地調査を研究グループ全体で行った。さらに奄美大島、鹿児島、那覇および韓国慶尚南道における現地調査を実施した。これらの資料調査は研究代表者およぶ分担者が単独調査あるいは2名一組で行った。また年に3回の研究集会を実施し、個別調査と全体の研究計画の調整、検討を行った。 今年度の研究調査によって下記の3点について進展があった。(1)戦後から阪神淡路大震災までの地域社会の社会史、特に長田区被差別地域における混住状況の展開に関する地域史的資料収集、(2)戦後から阪神淡路大震災までの長田区のマイノリティの生活史、出身社会との関係、特に南海日日新聞、月刊奄美における神戸出郷者関連記事の資料調査および与論島出身同郷会に関する資料、データ収集。(3)戦後から阪神淡路大震災までのマイノリティ間関係に関する現地調査、特に在日コリアン系住民とインドシナ難民との関係、の3点である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体調査および研究分担者を含む個別調査、関連資料収集については、おおむね順調に進展している。特に長田を中心とした移住者受け入れ地域社会の社会史的資料については、予定よりも豊富な資料やデータを入手することができた。ただし、それらの資料の十分な分析は今後の課題であり、また予定していた移民送出地域(南西諸島、韓国)については、スケジュールおよび予算の関係で、予定していた沖永良部、韓国における調査の日程を翌年度に回さざるを得なくなり、この点で「当初の予定より進展している」とは評価しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、これまでの調査研究をより進展させるとともに、研究成果のとりまとめ、学術的成果としての発表に加え、長田区の地域住民や移民創出地域(南西諸島、沖縄)などに還元する方策を検討する。具体的には、学術論文集(書籍)の出版、および地域住民団体との共編での「地域史」の報告書公刊であり、長田区については現地NPOと具体的な編集に向けた協議に入っている。 一方で、研究の進展によって判明したのは、移住者送地域社会と移住先地域社会の間の移動圏に形成されたネットワークの存在である。特に阪神地域の場合、航路とその寄港地に一時的あるいは恒久的な移住者コミュニティが形成されており、これについてもネットワークを把握するためには、実態を明らかにする必要性が生じた。ただし、これについては今回の科研の計画には盛り込んでいないため、別個の調査研究計画を他の学部資金によって本科研と同時進行させるか、ありは次期の科研申請課題とするか検討する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、分担者個別調査はデータの客観性を担保するために、現地調査あるいはインタビューにおいて2名を原則とする方式をとっている。この場合、研究分担者は分担金で、同行する他の分担者(代表を含む)は、代表者管轄予算から支出する。平成26に年度に関しては、大学等の改革プログラムなどにより、同行予定であった研究分担者(代表者)がスケジュールの関係で同行が困難であったため、その差額が発生した。また、可能な限りインタビュー内容はメディアに記録し、音声データのテキスト化を図る方針であり、そのための費用(テープ起こし、および校正補助作業のための人件費)を想定したが、インフォーマントの要望で困難な場合もあり、その差額分が繰り越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究協力者の招聘、サポート経費として使用する。南西地域での研究調査を進める上で、現地に通暁した地元研究者の協力が必要である。これまでのデータについても、方言の問題など、研究チームのメンバーでは対応できない不明点があり、この解決のため、現地出身の研究者2名を研究協力者として招聘し、作業サポートを依頼する。
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