研究課題/領域番号 |
25285002
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 岩夫 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (80154037)
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研究分担者 |
樫村 志郎 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40114433)
阿部 昌樹 大阪市立大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10244625)
高橋 裕 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40282587)
土屋 明広 岩手大学, 教育学部, 准教授 (50363304)
平山 洋介 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70212173)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 基礎法学 / 法社会学 / 法的ニーズ / 社会的構築 / 東日本大震災 |
研究概要 |
本研究は、東日本大震災の被災地(主要には岩手県釜石市)における住民アンケート調査・インタビュー調査に基づき、住民の被災経験および法的ニーズの社会的構築のプロセスを解明し、それを通じて、被災者に対する法的支援の具体的あり方の展望(政策的貢献)および法的ニーズの構築をめぐる法社会学理論の洗練化(理論的貢献)をめざすものである。 研究の第1年目である2013年度には、①岩手県釜石市内の仮設住宅等に居住する被災者を対象にアンケート調査(予備調査)を実施した。これと並んで、②釜石市、遠野市、大船渡市等で、自治体、地域の法律家、各種相談機関等へのインタビュー調査を実施し、地域の実情に関する情報収集と理解を深める作業を行った。また、これらの調査の実施と並行して、③本研究全体の遂行に関わる理論的枠組の洗練化を図る作業を行った。 ①のアンケート調査では、仮設住宅等1,100人余りの回答が得られた(回収率は約34%)。その結果は現在集計・分析中であるが、i)若い世帯員の転出を中心に世帯分離が進んだ結果世帯規模が縮小し高齢者のみが残る現象の進行、ii) 「私的整理ガイドライン」などによって住宅ローンの残債を整理した世帯があると推測される一方、なお残債をかかえる世帯が少なからず存在している実態、iii)各種の生活上の課題を複合的に抱える世帯の存在等が明らかになった。他方、②のインタビュー調査の結果、自治体や法律その他の専門家・相談機関の間で一定の連携関係の構築が進んでいるものの、住民との接点には課題を残している現状も確認された。 以上の第1年度の研究を通じて、研究課題の遂行にとって重要な基礎的知見が得られた。これを基礎に、第2年度(2014年度)においては本研究の中核となるアンケート調査(本調査)等を実施し、研究の進展を図る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、当初の計画に従い、おおむね順調に進展している。現在のところ、計画の順調な遂行の障害となる問題は存在しない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、当初の計画に従い順調に進展しており、今後も計画通りの進行を目指す。 研究の第1年度(2013年度)の成果(上記)をふまえて、研究の第2年目に当たる2014年度は、①被災者の法的ニーズの社会的構築過程を解明することを目的とする大規模・詳細な調査(アンケート調査)を実施する。定例研究会等で十分な検討を重ねた上で、被災者の法的ニーズの顕在化/非顕在化に影響を及ぼす要因を明晰に析出できる調査設計を工夫する。 また、②このアンケート調査では、調査技術的・調査倫理的な課題を慎重に検討した上で、後日の住民(被災者)インタビュー調査への協力意向を確認できる項目を設け、2014年度および2015年度に、適切な形でインタビュー調査を実施する予定である(協力意思の確認および匿名性の確保について慎重な工夫を講じる)。これによって、アンケート調査およびインタビュー調査の両面から、被災者の法的ニーズの構築過程を立体的に解明することをめざす。 あわせて、2014年度にも、③関係機関インタビュー調査を継続し、また、④定例研究会も継続的に開催する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費につき、購入価格の変動のため、一部が未使用となった。 次年度の物品費に充当し、効果的に執行する予定である。
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