研究課題/領域番号 |
25285084
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
村上 直樹 日本大学, 総合科学研究科, 教授 (80174275)
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研究分担者 |
中村 二朗 日本大学, 総合科学研究科, 教授 (30127112)
丸田 利昌 日本大学, 総合科学研究科, 教授 (60295730)
村田 安寧 日本大学, 総合科学研究科, 教授 (40336508)
安藤 至大 日本大学, 総合科学研究科, 准教授 (80377126)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 労働移動 / 技能の空間分布 / 政策評価 |
研究概要 |
1 労働移動と技能の空間分布を考える上で注目すべきは、一旦農村から都市へ移動した労働者が帰郷するという現象である。とくにそうした帰郷が都市における不適合を理由とするものでなく、都市での労働により蓄積された人的資本を地元で創業等に活かそうという積極的な理由に基づく場合重要となる。そうした観点から中国における「帰郷創業」現象を分析し、9月に上海で開催された国際学会でその成果を報告した。 2 他の地域から移動してきた労働者が移動先の地で技能等その人的資本を有効に発揮できるための仕組みの1つとして「同郷組織」があり、その存在が技能の空間分布にも影響すると考えられる。そうした観点から、まず日本の「同郷組織」(県人会など)を分析し、8月に中国河南省の安陽で開催された国際学会で講演した。 3 上記2に引き続いて中国における「同郷組織」(地縁性商会)に関する分析を行うため、とくに中国河南省から他地域に移動し移動先で創業した経営者(「豫商」と呼ばれる)が設立した組織(たとえば「北京河南商会」等)をサンプルとしたアンケート調査を実施した(サンプル数は最大76)。具体的なアンケート調査の実施は河南省を代表する大学の1つである鄭州大学の企業研究センターの委託する形をとった。目下、収集されたデータを整理分析しているところである。 4 労働移動と技能の空間分布は、当然のことながら都市の形成と密接に結びついている。そこで25年度中に日本の都市化に関する3編の中国語論文「日本都市化進程中的相関問題」、「日本東京首都圏的現状与演変」、「事例研究:東京多摩地域的城市化的進程」の初稿を書き上げ、主に中国人研究者との間で本研究課題に関連した理論的、実証的あるいは政策的議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
とくに、昨今は中国における日本人によるアンケート調査の実施が困難になっているが、今回は鄭州大学企業研究センターの全面的協力を得て実施が可能となり貴重なデータを収集することができた。他の個別目的の進捗状況と併せて「おおむね順調」と評価できるであろう。
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今後の研究の推進方策 |
個別の目的に即して、基本的に当初計画どおり研究を進める予定である。とくに前年度収集した中国に関するデータについては解析作業を急ぐつもりである。また、理論面については2013年以降発表された他の研究者による関連した最新成果も取り入れて本研究を進める所存である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の経費見積もりと比較して円安等の原因から中国でのアンケート調査は予算超過となったものの、現有設備の利用、旅費の効率的使用等により次年度に一定金額を繰り越すことができた。 繰越額は主に研究推進の加速化およびそれによって可能となる他の研究者との関連学術交流の深化に充てる予定である。
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