誕生直後の熱い中性子星および、冷却が進んだ冷たい中性子星に関して、その半径、質量、温度分布、密度分布、音速分布などのバルクな性質を、研究代表者の初田と連携研究者の高塚龍之氏、および大学院生の益田晃太氏が提唱してきたハドロンークォーククロスオーバーの観点から詳細に検討した。まず原子核密度以下から原子核密度の10倍に達する範囲で有効な現象論的状態方程式"CRover"を構築し、それに基づいて、2倍の太陽質量以上の冷たい中性子星が、数倍の原子核密度付近での、急激な状態方程式の硬化により説明可能であること、中性子星の半径は12.5km前後の極めて狭い領域に集中すること、などを明らかにした。 さらに、このような重い中性子星の中心密度は原子核密度の4倍程度に抑えられ、一般に状態方程式の軟化を促進するハイペロンがほとんど現れない状況にあることも示した。また、クォーク相でのカラー超伝導の効果は、状態方程式の軟化をもたらし、太陽質量の0.2倍程度の減少をもたらすことを示した。有限温度でのCRoverを用いて、誕生直後の熱い中性子星の内部温度分布を計算し、等エントロピー条件のもとでは、中性子星内部に現れる強相関クォーク物質のために、中心温度が減少するということを明らかにした。また、熱い中性子星がニュートリノ放出で冷却する過程で解放される重力エネルギーや回転数増加を定量的に評価した。さらに、強電場や強磁場中のハドロンの性質変化については、昨年度に引き続き、本科研費の研究支援員である服部恒一氏が中心となり、場の量子論に基づく一般論を展開するとともに、中間子やプラズマ中のクォークに対する影響を解析した。
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