アキラルな基質を出発原料とし,キラル中心を有する化合物の生成と動的優先晶出により,不斉の発現と増幅を実現し,付加価値の高い化合物群の創出を目的とした。本研究での不斉発現増幅現象は,①アキラルな化合物の反応により不斉中心を有する生成物が選択的に生じること,②生成した不斉中心のラセミ化と優先晶出(動的優先晶出)が系内で起こること,により達成できる。共役カルボニル化合物へのアミンの可逆的付加反応を利用するアミノ酸の絶対不斉合成や様々な可逆反応を利用した付加価値の高い複素環化合物合成について精力的に取り組み,高い光学純度の生成物を得る反応系と結晶化条件を確立し,本手法の一般性と有用性を証明した。
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