• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実績報告書

合成繊維集合体の高強度化への革新的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 25288102
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

大崎 茂芳  奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (90273911)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード繊維集合体 / 合成繊維 / 半合成繊維 / 加圧 / 力学特性 / 隙間 / レーヨン / 絹糸
研究実績の概要

天然繊維や合成繊維は実用的には集合体として利用される。その中で、力学強度アップが非常に重要となっている。このために、単繊維の強度をアップする方法が取られてきたが、実用的には集合体の力学特性が何よりも重要である。前年までは、ナイロン繊維、さらにポリエチレンテレフタレート繊維に焦点を当てて、繊維集合体の隙間軽減に伴う、力学的高強度化に挑戦した。本年度は、半合成繊維であるレーヨン繊維に焦点を当て、その集合体における力学特性の改善を目指した。また、ケラチンや絹糸の集合体における力学特性の改善にも挑戦した。なお、比較サンプルとして、クモの糸の集合体を用いた。
レーヨン繊維の集合体における繊維間の隙間軽減を改善すべく、ねじり条件を変えた。その結果、ねじり方法によって隙間の軽減に改善がみられることが分かった。また、ケラチンや絹糸でも、本来、均一な形状をしていないにも拘わらず、隙間の軽減が達成できることが分かった。なお、比較サンプルとしてのオオジョロウグモからのクモ糸の収集にも力を入れ、その集合体における隙間軽減にも挑戦した。これらのサンプルを用いて行った、繊維集合体での隙間の軽減に関しては、理想的に平行になっている繊維集合体に比べて、力学強度は劣るものの、破断エネルギー的には検討すべきことが分かってきた。これらの実験の結果、繊維軸と垂直方向における弾性率を考慮した圧縮法を用いれば、隙間の軽減が改善することを認めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究補助員が結婚により住所が変わったため、以前の勤務日数は不可能になった。
また、比較サンプルとしてのクモの糸の収集の旬は夏に限られているが、わずかの期間のため、人員配置と天候に左右されて、十分な糸取りができなかった。
繊維への加圧法を試行錯誤し、メーカー探索に時間がかかったこと。

今後の研究の推進方策

夏には比較サンプルとしてのクモの糸の収集をおこなう。
新しい加圧方法を取り入れて、隙間軽減に努力する。
今までのデータおよび不足箇所を整理して、繊維集合体の高強度化に取り組みたい。

次年度使用額が生じた理由

研究補助員が結婚のため住居が遠方に変わり、通勤日数が大幅に減少した。研究において合成繊維との比較のために不可欠な天然繊維の採取のためのオオジョロウグモとコガネグモが必要であるが、生存期間(旬)はわずか2か月程度という短さのため、クモの採集およびクモからの糸採取の人員が確保が困難であったことによる。

次年度使用額の使用計画

オオジョロウグモとコガネグモの生存期間(旬)の時期に合わせて、クモの採集および糸採取の人員を確保する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The effects of seasonal changes on the molecular weight of Nephila clavata spider silk2016

    • 著者名/発表者名
      Shigeyoshi Osaki, Keizo Yamamoto, Takashi Matsuhira, Hiromi Sakai
    • 雑誌名

      Polymer Journal

      巻: 48 ページ: 659-663

    • DOI

      10.1038/pj.2015.138

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] クモの糸でヴァイオリンは弾けるのか?2016

    • 著者名/発表者名
      大崎茂芳
    • 雑誌名

      JAS Journl

      巻: 56 ページ: 28-37

  • [雑誌論文] クモの糸の不思議2015

    • 著者名/発表者名
      大崎茂芳
    • 雑誌名

      日本家政学会誌

      巻: 66 ページ: 521-528

  • [雑誌論文] なぜ、今クモの糸なのか?2015

    • 著者名/発表者名
      大崎茂芳
    • 雑誌名

      繊維学会誌

      巻: 71 ページ: 129-133

  • [学会発表] クモの巣はなぜ雨に弱いのか?2015

    • 著者名/発表者名
      大崎茂芳
    • 学会等名
      高分子討論会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      2015-09-17 – 2015-09-17
  • [図書] クモの糸でヴァイオリンは弾けるのか?2015

    • 著者名/発表者名
      大崎茂芳
    • 総ページ数
      1-8
    • 出版者
      畑田家住宅活用保存会

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi