古くから細い一本の繊維の力学特性はよく調べられ、測定された特性の信用性はかなり高いものである。ところが、繊維は集合体として利用されることが多く、しかも用途によってその集合体の形状はまちまちである。そのため、集合体の力学特性の比較というものは非常に困難であった。しかも、個々の集合体における力学特性が本当に効率的になっているのかどうかは怪しいものである。その一番の原因となるのは、繊維集合体における繊維間の隙間の割合がまちまちであることによる。現実の集合体における繊維間の隙間の割合は結構大きいが、繊維を理想的に平行に並べたとしても20 %ぐらいは隙間がある。そこで、合成繊維およびクモの糸における集合体に加圧することに拠り、平行に並べた場合よりも隙間を軽減することを試みた。その結果、温度、湿度、ねじり度によって細い繊維が変形させ、繊維相互が面接触させることにより隙間度をコントトールでき、応力が向上することが分かった。また、弾性率としても繊維軸のみならず、繊維軸と垂直方向が重要であることが判明した。
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