研究課題/領域番号 |
25289214
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
永井 康雄 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (30207972)
|
研究分担者 |
池上 重康 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30232169)
崎山 俊雄 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (50381330)
加藤 耕一 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30349831)
角 哲 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90455105)
山崎 幹泰 金沢工業大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10329089)
砂本 文彦 広島国際大学, 工学部, 准教授 (70299379)
山田 由香里 長崎総合科学大学, その他部局等, 准教授 (60454948)
木方 十根 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (50273280)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 保存・再生 / 大規模災害 / 歴史的建造物 / データベース |
研究概要 |
1.東日本大震災被災調査で得られた歴史的建造物の個別基礎データを集積した。東日本大震災の被災調査で得られた東北6県及び関東5県に所在する歴史的建造物(約4,000件)の被災状況や応急処置方法、画像情報、史・資料などをデータベースに取り込むためのシステムを改良した。本研究で構築しているDBシステム「歴史的建築総目録DB」(htpp://glohb-aij.eng.hokudai.sc.jp/)に位置情報・写真情報などの基礎データの他に図面や文献などのデータを集積できるように設計変更し、さらに大規模災害に備えて北海道大学と鹿児島大学にミラーサーバーを設置するとともに本体をクラウドサーバーに移行し、利便性を図った。総データ数は2014年3月1日現在で14,115件となった。 2.被災調査時に判明した調査方法・内容、技術的支援の諸問題を分析した。東北6県及び関東5県で実施した被災調査シートを基に、建築種別、構造別、建築年代別に被害状況の程度及び特徴を集計し、震度毎に建物の構造別、部位別の被害状況をデータベース化した。 3.データベースの活用と可能性を検討した。建築に関係する他のデータベースとの有機的な連携の可能性、協働してデータベース化を進めるための条件整備を進めた。文化庁、建築学会、日本建築家協会、日本建築士会連合会と連携し、データベースの活用方法について協議し、本DBシステムの利用者数は2013年3月1日現在で230名(2012年3月1日現在では109名)に増加した。 4.日本建築学会2013年度全国大会(北海道)で「災害への対応と対策 歴史的建築を未来に伝えるために」と題して、日本建築学会災害特別調査研究WGと共同で研究懇談会を開催した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災被災調査で得られた歴史的建造物の個別基礎データを集積は、DBシステムの変更に時間を要したため、データ入力作業の開始時期が遅くなった。そのために当初予定していた入力数には達しなかったが、大規模災害に備えて北海道大学と鹿児島大学にミラーサーバーを設置し、本体をクラウドサーバーに移行できたので、大規模災害時のリスクは大幅に軽減でき、利便性も向上した。 被災調査時に判明した調査方法・内容、技術的支援の諸問題の分析については、建築種別、構造別、建築年代別に被害状況の程度及び特徴を集計し、震度毎に建物の構造別、部位別の被害状況を計画通り集計できた。 データベースの活用と可能性の検討については、文化庁、建築学会、日本建築家協会、日本建築士会連合会と今後の活用方法について具体的に協議でき、本DBシステムの利用者数の増加につなげることができた。 以上、総合的に判断すると概ね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
東日本大震災の被災調査で得られた東北6県及び関東5県に所在する歴史的建造物の被災状況や応急処置方法、画像情報などをデータベースに取り込む。文化財に指定・登録されていないもので地域の景観形成上または建築史上重要なものを選定し、位置情報・写真情報・図面などの基礎データを収集する。 東北6県及び関東5県で実施した被災調査シートを基に、建築種別、構造別、建築年代別に被害状況の程度及び特徴を分析する。調査・支援を行うための統一した調査マニュアルのありかた及び建物の被害程度や腐朽程度と技術的支援内容や支援情報の提供の仕方について検討する。 行政(文化庁)、大学、建築学会、建築関連諸団体(建築家協会、建築士会連合会などとの有機的な連携の可能性を検討し、全国的に協働してデータベース化を進めるとともに、データベースの活用方法について検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
東日本大震災被災調査で得られた約4000件の歴史的建造物の被害状況及び復旧・修復に関する技術的支援の内容、過去に行われた歴史的建造物調査の基礎データなどの入力作業は、DBシステムの変更に時間を要したため、データ入力作業の開始時期が遅くなった。その結果、データの入力作業は次年度に本格的に実施することになり、そのために計上していた人件費などを次年度に繰り越すこととなった。 DBシステムの変更は完了しているので、当初計画していた通りに研究分担者が担当している地域の個別データを入力する予定である。
|