研究課題
これまで30年以上にわたり宇宙環境における主要な材料劣化要因としては化学的に活性な原子状酸素の影響が考慮されてきたが、化学的には不活性な高質量原子の衝突が一部材料の質量損失に対して大きな影響を及ぼしている可能性が本申請者と米国研究者の研究により独立に明らかにされた。これを受けて、本研究では窒素分子や二酸化炭素など高質量分子衝突による劣化現象に対して、影響を受ける材料の範囲、高質量原子衝突と原子状酸素、紫外線、温度などのシナジー効果の有無と発現条件を明確化し、宇宙工学上のインパクトを定量的に精査することを目的とするものである。平成26年度には温度可変ステージを用いて+70℃における紫外線同時照射効果について原子状酸素とアルゴンビームについての個別照射実験を実施し、複合効果における温度依存性に関する解析を行った。平成27年度には原子状酸素とアルゴンの混合同時照射効果について実験を実施するとともに、簡易型クロスビーム実験装置への装置改造を行った。それに引き続き、平成28年度には前年度に改造した簡易型クロスビーム実験装置を用いて、材料劣化に及ぼす原子状酸素とアルゴンの照射タイミング、アルゴン衝突エネルギーに対する依存性、アルゴンビームフラックスの効果について明らかにした。その結果、これまで宇宙環境における材料劣化に対して無関係と考えられてきた窒素分子衝突(実験ではアルゴン衝突で模擬)が、原子状酸素誘起材料劣化に大きな影響を与えることを見出した。平成29年度は平成28年度に引き続き、アルゴンビームフラックスの効果について詳細な実験を行うとともに、通常の原子状酸素地上試験を行う際にビーム中に残存する未解離の酸素分子の効果についても考察を加えた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Diamond and Related Materials,
巻: 79 ページ: 14-20
http://www.space-environmental-effect.jp/index.html