研究課題
アオサ藻綱のなかでも同形から異形への進化の途上にあるヒラアオノリを用いて、配偶子に大小が生じる前の雌雄性とは何かを明らかにしたい。雌雄が大小の前にすでにあったとすると、コンピューターシミュレーションなどとは違って、雌は大きくなり雄は小さくなることが進化的に運命づけられていたことになる。これまでに、(1)「免疫サブトラクション法」で雌雄の表層あるいはそれぞれの接合装置に特異的に反応する抗体を作成し、(2)「EST/MS サブトラクション法」でそれらの遺伝子を同定するとともに、(3)「FE-SEM(電界放射型走査電顕)」、「免疫電顕」、「連続切片法によるTEM(透過電顕)」でそれらが接合装置として雌雄で異なった配位で細胞表層に提示されるダイナミズムを調査している。また、「ゲノム支援」で雌雄配偶体のゲノムシーケンスとトランスクリプトームを実施し、雌雄配偶子のゲノムサイズは雄114Mb、 雌117Mbで、そのほとんどが雌雄相同なゲノム領域であるがその一部に雄側で1.2Mb、雌側で1.5Mbの雌雄特異的(MT)領域が同定されている。今年度は、この雌雄特異的領域内にあって、性決定と性分化に関わる遺伝子を探索するために、配偶子誘導開始後0、24、48時間目の雌雄の葉状体と配偶子のRNA-Seqを実施しMT領域の遺伝子の発現量を調べた。まず注目したのはRWP1で、雄MT領域のみにあるこの遺伝子は、クラミドモナスなどの雄の性決定遺伝子MIDと同じように窒素飢餓に応答するRWP-RKドメインをもっていて、配偶子誘導開始前の葉状体や配偶子で発現していた。分子系統解析ではRWP1はMIDとは異なる系統群に属していたが、雄のMT領域でクラミドモナス・ボルボックス系の雄性関連遺伝子と唯一共通の遺伝子である。他に、雌雄共通遺伝子のCKK-CNB1とLOG1のスプライシングバリアントを調査した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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