生活習慣病や精神障害などのヒトをとりまく環境に起因する疾患に関わる遺伝子では、往々にして祖先型が疾患のリスク型SNPとなっている。この様なリスク多型を示す遺伝子座としてシアル酸転移酵素STXの多型維持機構について詳細に調べた。STXはポリシアル酸を合成する酵素で脳機能において重要な役割を果たしており、統合失調症等の精神障害との関連が指摘されている。STXのプロモーターには3つのSNPsで定義される4タイプが存在するが、プロモーター活性の低いタイプが非リスク型である。このタイプは東アジア集団で限定的に頻度が高いがタイプ内の多様性は極めて低い。これは正の自然選択が働いている可能性が高いことを示す。
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