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2015 年度 実績報告書

トランスクリプトームとエネルギー代謝から紐解くマングローブの生態ニッチ決定機構

研究課題

研究課題/領域番号 25292091
研究機関琉球大学

研究代表者

渡辺 信  琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (10396608)

研究分担者 門田 幸二  東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (60392221)
井上 智美  国立研究開発法人国立環境研究所, その他部局等, 研究員 (80435578)
光田 展隆  国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (80450667)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード植物生理 / マングローブ
研究実績の概要

本年度は当初の研究計画にはなかったUAV(クアッドコプター)を用いた空撮を行い、調査対象区域全域の微地形情報と植生情報の概要を得ることが出来た。このことにより調査プロット外のマングローブ分布情報をも詳細に把握することが可能となった。更に今までに観測してきた環境因子データと流域全域のマングローブ樹種毎の分布情報を併せて解析することが可能となった。
ストレス環境条件下におけるエネルギー代謝を調べるために、本研究調査値におけるマングローブの生態ニッチを決定づける大きな世環境因子と考えられる温度(28度又は22度)、水位(湛水又は冠水)、塩分濃度(NaCl有り又は無し)、光量(200μmol又は50μmol)を調節し、グロースチャンバー内でオヒルギ実生の水耕栽培実験を行った。それぞれの栽培条件でオヒルギ実生を3日間栽培し、葉と根をサンプリングした。HPLCを用いてアデノシン三リン酸、アデノシン二リン酸、アデノシン一リン酸を測定し、それぞれの栽培条件におけるエネルギー代謝状態を調べた。葉におけるATP蓄積量は28度200μmolで概ね全体の平均値よりも少なく、根ににおけるATP蓄積量は葉における平均蓄積量よりも概ね多かった。どれだけリン酸結合エネルギーがチャージされているかを表したエネルギー・ チャージ{EC ; ([ATP]+0.5. ×[ADP])/([AMP]+[ADP]+[ATP])}は葉で0.6±0.1、根で0.7±0.1で若干低めながらどちらも安定した状態に保たれていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

前年度のRNA-Seqシーケンスの際、高品質のRNAを調整するのに時間を要したため全体のスケジュールが後ろ倒しになった。そのためRNA-Seq解析も当初の予定より遅れていることから本研究の達成度をやや遅れていると評価した。

今後の研究の推進方策

平成28年度は補強データを得る為に、マングローブ胎生種子を用いた水耕栽培実験を実施する。特に主要なヒルギ属3種、オヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギの発根条件に注目した栽培実験を実施し、それぞれの樹種が成育する生態環境に適した環境要因の組み合わせで、どの程度の発根、発芽が認められるかを調べる。
平成27年度に実施したフィールド採取試料のRNA-seqデータの解析を進める。解析には、西表島の仲良川の流域に設置した24個のプロットにおいて満潮時と干潮時に採取したオヒルギの葉で、それらから抽出したRNAを用いている。トランスクリプトーム解析には共同研究者の門田らの開発した感度・特異度を高く比較トランスクリプトーム解析を行うためのデータ正規化法(TbT 法)を用いたキー遺伝子同定や、クラスタリング、遺伝子ネットワーク推定を行う。また前年度マレーシアサバ州より得たマングローブサンプルに関してもRNA-Seq解析を進め、マングローブのトランスクリプトームデータベースの拡充に努める。
野外調査地の環境データを補強するために、ドローンを用いた低空飛行による空撮を実施する。昨年度に試験飛行で大凡の地理データを取得する目処がついたが、全地球航法衛星システム(GNSS)の端末が無く、得られた地理データに正確な座標を与えることが出来なかった。本年度は本格的な空撮を実施して詳細な3Dサーフェイスモデル、DEM画像、オルソ画像を作成し、GISの基盤レイヤーとする。野外で採取した試料のトランスクリプトームデータの位置情報とDEMから作成した高精度地盤高データと実測の湛水頻度データ、塩分濃度データを併せ、個別の試料がどの程度の環境ストレスに晒されていたのかを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

マレーシアサバ州より熱帯域のマングローブ遺伝子資源を持ち出す許可を得たと同時にサバ州森林局と共同研究契約を締結したこ。この試料を用いてマングローブのトランスクリプトームデータベースを充実し、世界のマングローブ分布中核域と分布北限の機能遺伝子発現情報を比較するため、新たなRNA-Seq実験費用を次年度に繰り越した。

次年度使用額の使用計画

本経費を用いてRNA-Seq実験を実施する。内訳はRNA抽出試薬一式、Illuminaシーケンスの前処理試薬一式、ギガシーケンスランニング費用、出力されたデータ解析費用である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] サバ州森林局/マレーシア大学サバ(マレーシア)

    • 国名
      マレーシア
    • 外国機関名
      サバ州森林局/マレーシア大学サバ
  • [学会発表] ドローンとSfMによるフィールド研究2016

    • 著者名/発表者名
      渡辺信
    • 学会等名
      第127回日本森林学会大会
    • 発表場所
      日本大学藤沢キャンパス(神奈川県)
    • 年月日
      2016-03-30
  • [学会発表] How to monitor damaged or rehabilitated mangrove forests2015

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, Shin
    • 学会等名
      52nd annual meeting of the association for tropical biology and conservation
    • 発表場所
      Hawaii Convention Center (Honolulu, Hawaii, U.S.)
    • 年月日
      2015-07-16
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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