研究課題
細胞膜脂質の過酸化・分解現象に着目した青果物の鮮度評価理論と技術を開発することを目的として以下のことを行った。昨年までに実施した保存前後のキャベツにおけるDNAオリゴマイクロアレイにおける網羅的遺伝子発現解析結果を詳細検討したところ、特に「Membrane」をキーワードにした遺伝子群の多くに発現変動がみられ、これらに属する遺伝群をさらにスクリーニングすることで定量的鮮度評価ができる可能性を示した。また、鮮度劣化に伴う脂肪酸組成の変動を解析したところ、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸と同等に分解が進むことを示し、脂質成分の動態に着目した高精度な鮮度評価のためには、脂質の自動酸化のみならず飽和脂肪酸のβ酸化にまで踏み込む必要があることが示唆された。脂質過酸化過程における一次生成物である過酸化脂質含量の変化をホウレンソウ葉の葉縁部と葉肋部で比較したところ葉縁部の増加が著しく、鮮度評価にあたっては、サンプリング部位に留意する必要があることも示された。さらに、細胞膜の水伝導係数と脂質過酸化物量との議論から、細胞膜機能劣化の進行は、膜脂質過酸化物が蓄積し、ゲル相脂質領域が形成され、膜透過性が増大するという過程を経ることが示唆された。これらの成果は、収穫後青果物における細胞膜機能劣化の定量的な解明に寄与し、今後の鮮度研究に関わる重要な知見を与えるものと考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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