研究実績の概要 |
鏡視下手術を要した五十肩群(凍結肩、12例)とコントロール群(関節可動域制限のない腱板断裂、7例)の関節包(腱板疎部(RI)、中・下上腕関節靭帯(MGHL, IGHL)を採取し、網羅的な発現タンパク解析を行った。十分なタンパクを得るために抽出方法を工夫した。具体的には、プロテアーゼインヒビターを添加した分画バッファー内でホモジナイズした後、遠心して上清の細胞可溶性画分を回収した。Bradford法でタンパク定量をしてから、1 nmol(分子量5万で換算)ずつ分注して減圧乾燥した後、50mM重炭酸アンモニウム水溶液に再溶解してトリプシン消化した。反応液を再び減圧乾燥した後に1%ギ酸水溶液に再溶解したものをnanoLC/ESI-MS/MSによるショットガンプロテオーム解析を行った。 1846個のタンパクが検出できた。コントロールと比較して凍結肩でRI, MGHL, IGHLでそれぞれ135, 106, 19個の発現が増加していた。反対に, コントロールと比較して非糖尿病性凍結肩でRI, MGHL, IGHLでそれぞれ49, 79, 166個の発現が増加していた。増加タンパクはRIとMGHLで、減少タンパクはMGHLとIGHLで類似傾向があった。 Gene ontology解析では, 炎症, 線維化以外に, 癒着、血液凝固系および細胞骨格系が増加していた。光音響顕微鏡装置での評価については、時間的な都合もあり、十分な評価が行えなかった。
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