研究課題
基盤研究(B)
島嶼部東南アジアにおける国境の政治的意味は、第二次世界大戦後、様々に変化してきた。その過程で国境を跨ぐ境域社会もまた、自らの文化やアイデンティティを変容させてきた。本研究は、現地調査を基に、同地域の境域社会では、①跨境社会文化圏を部分的に含む国民国家との交渉を通じた再編、②在地の跨境社会文化圏を枠組みとする復興、③非在地の越境的な社会関係(欧米のNGOとの関係等)を基盤とする創造の三つのパターンで文化・アイデンティティを変容させる傾向がみられることを明らかにした。同時に、変容の志向性が移民世代や階層によって異なること、またひとつの社会に複数の変容パターンが併存しうることも指摘した。
東南アジア研究