研究課題/領域番号 |
25301016
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
末近 浩太 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70434701)
|
研究分担者 |
松尾 昌樹 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (10396616)
吉川 卓郎 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 准教授 (30399216)
濱中 新吾 山形大学, 地域教育文化学部, 准教授 (40344783)
村上 勇介 京都大学, 地域研究統合情報センター, 准教授 (70290921)
宮地 隆廣 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (80580745)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 社会運動 / 政軍関係 / 民主化 / 権威主義体制 / イスラーム主義 / 新自由主義 |
研究実績の概要 |
主に国内学会におけるパネルや企画のかたちで、京都大学地域研究統合情報センターの公募研究プログラムと協力しながら、中東諸国と中南米諸国における体制転換/非転換の事例研究とその理論的含意についての研究成果の発表を行った。 中東からのアプローチとしては、日本比較政治学会大会において「社会運動の比較政治学」と題した部会を組織し(6月28日)、非公的アクターとしての社会運動の発生要因およびその政治的な帰結を規定する要因に関して、中南米、東南アジアの事例と比較する分析を行った。他方、中南米からの探究は、政治経済の今日的位相を検証する過程で、中南米における政党のあり方を分析し、1970年代末~90年の体制移行期の時期との比較そして軍をとりまく状況の違いについて分析する形で実施した。日本ラテンアメリカ学会西日本部会研究会において「低成長期ラテンアメリカの政治経済」を開催した(12月19日)ほか、専門家を招聘したセミナーを開催し(6月1日、1月23日、3月5日)、体制移管と軍の関係性について検討した。 中東を中心とした社会運動の比較分析では、従属変数としての政治的帰結の定義と操作化が困難であることがあらためて確認されたものの、運動の役割と意義を分析するための枠組みの整備が急務であり、また、社会学と政治学との接点の模索や従来の「政治」イメージの問い直しなどの契機となることが明らかになった。他方、体制転換過程における軍の役割については、両地域の間の体制転換期における政治経済社会や国際環境の違いにより相違がみられる。特に中東では、軍の専門職業化の度合いの違いにより、軍政の復活と内戦という2つの異なる帰結をみせた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年目は、中東と中南米の体制転換/非転換の事例について、1年目と2年目に検討した分析枠組みを通して、事例研究に加えて、比較理論研究への前進を見せることができた。中東では社会運動、中南米では軍と政党という切り口が異なるものの、それはそれぞれの地域の政治的事情にしたがった方法論的選択であると同時に、社会運動、軍、政党の三者関係は体制転換/非転換において極めて重要な要素であることから、両地域の比較をスムーズに進めることに寄与したと言える。
|
今後の研究の推進方策 |
計画の4年目(1年延長)、最終年度は、これまでの中東と中南米の事例研究およびそこから得られた理論的なインプリケーションを比較し、一定の理論化を目指すこととする。その際、研究代表者の末近のロンドンでのサバティカルを活用し、国外の中東/中南米研究者や政治学者からの助言や批判を仰ぐこととする。また、一部のデータの収集のために、研究代表者による追加現地調査を実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本補助事業の採択期間において、中東各国の治安情勢が著しく悪化したことから、当初の計画通りに海外学術調査(文献資料収集、関係者へのインタビューなど)を実施することが難しくなったため。具体的には、2015年初頭以降のヨルダンとチュニジア(テロ事件)、2015年夏以降のレバノン(市民による抗議デモ)が障害となった。
|
次年度使用額の使用計画 |
上記各国の情勢が徐々に改善されつつあるため、かかる海外学術調査を平成28年度に実施することとし、研究計画を遂行する。
|