本研究では,しきい値回路のとりうる出力パターンの数を,しきい値回路の複雑さを測る尺度の一種として導入し,その出力パターンの数としきい値回路の計算能力との関連性を調査した.その結果,しきい値回路を構成するしきい値素子の重みが小さく制限されていた場合,その出力パターンの数としきい値回路の計算能の間に,強い相関関係があることを示唆する結果を得た.さらに,回路構造に閉路を許す回路を離散力学系の一種として捉えた計算モデルに対して,出力パターンに関連した新しい決定問題を定義し,その計算複雑さが特異なものであることを示唆する結果を得た.
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