動物園動物の生活環境の向上を図る動物福祉を達成するための技法である環境エンリッチメントを実施した際、従来短期的な効果測定がほとんどであるが、動物にとっての効果は中期的長期的なものもある。これを測定し実用に移すために樹上性のリスザル集団に対して、樹上性の生活様式を引き出す立体的生活環境を作り、1週間単位の短期、1ヶ月・2ヶ月後の中期、1年・2年後の長期の環境利用についての観察を行ったところ、短期的効果ももちろん見られたがそれ以上に中期、長期にわたる安定的効果がみられた。このような当該動物種の生活様式の根幹をなすエンリッチメントは長期に亘って持続的効果が期待できることが実証された。
|