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2013 年度 実施状況報告書

食品放射能規制政策のリスク便益分析

研究課題

研究課題/領域番号 25340144
研究種目

基盤研究(C)

研究機関福井県立大学

研究代表者

岡 敏弘  福井県立大学, 経済学部, 教授 (00231209)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード放射線リスク / 放射性セシウム / 食品 / リスク便益分析 / 費用便益分析 / 損失余命 / 米 / あんぽ柿
研究概要

福島第一原発の事故によって放出された放射性セシウムの、食品を通じた摂取を防ぐために採られた規制と対策の費用と効果を測り、その比を余命1年延長費用として評価するのが研究の目的である。2013年度は以下のことを行った。
1) 2011年春の葉物野菜と秋の米の出荷制限の費用と効果を測った。出荷制限によって失われた価値で費用を測り、3月~5月の野菜で810万円~1.0億円、米で3.1~10億円という余命1年延長費用を得た。
2) 2011年から2012年にかけて行われた柿の除染の費用と効果を測った。あんぽ柿の産地で除染にかけた費用は7.0億円である。除染の結果、2011年に250Bq/kgだったあんぽ柿の放射性セシウム平均濃度は、2012年に130Bq/kg、2013年に71Bq/kgに下がった。物理的減衰と生物的な自然減を除いて、2012年と2013年の除染による低減をそれぞれ53Bq/kg、68Bq/kgと推定し、2014年以降、2013年の減衰率が続くと仮定して、2022年までの除染による低減分を求め、放射性セシウムの摂取回避による余命延長を15年と推定し、余命1年延長費用4800万円を得た。これは2012年の柿が加工され出荷されたとした場合の値である。実際には加工されず、廃棄による余命1年延長費用が5.6億円となった。
3) 米への放射性セシウムの吸収を抑える対策の費用と効果を測った。珪酸カリとゼオライトを施用して深耕する費用は87万円/haである。2011年産米の緊急調査で100~500Bq/kgの放射性セシウムを含む米を生産した伊達市の農家(4.5%)の米が、2012年産米で、全袋検査結果の分布に従って、「検出せず」から100Bq/kgに移行したとして、自然減を差し引いて、対策による摂取量の削減から余命延長を推定し、費用との比を取ると、4.0億円から10億円となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

出荷制限による廃棄の費用と効果の推定は精度を上げた。米の吸収抑制策と柿の除染対策の費用と効果の推定はできた。畜産物の対策の評価が難しく、遅れている。

今後の研究の推進方策

昨年度明らかになったことを今年度発表していく。今年度は、さらに、米の吸収抑制策の評価を多面的にする。また、畜産物の対策を評価できるよう、方法を考える。

次年度の研究費の使用計画

他の所用と兼ねていた場合などがあり、旅費の支出が予想よりも少なかったから。
昨年度の成果の発表のための学会出席の旅費などに当てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Cost-Effectiveness of the Decontamination Activities in the Evacuation Zones Due to the Fukushima Nuclear Accident2013

    • 著者名/発表者名
      OKA Tosihiro
    • 学会等名
      Society for Risk Analysis
    • 発表場所
      Baltimore, USA
    • 年月日
      20131209-20131211

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公開日: 2015-05-28  

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